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海外生活 時事と常識

日本であまり知られていない海外の常識、文化、社会等の情報をお届けし、21世紀の世界標準に準ずる日本社会、国民を築く為のお手伝いとして、多くの人に読んでもらいたい、ブログです。

アメリカは世界中の国々で一番、多くの人種の交わった移民の国です(☆)。
そんな中、色々な外国語が飛び交うのは日常茶飯事。
様々な外来語が翻訳される事なく、そのまま生活に定着することもしばしば。
これは、外来語をそのまま受け入れる日本にとっては珍しくないですが、
しかし、何でも翻訳、改名する西洋社会では、実はとても珍しい事なのです。
例えば、イギリスでは「Mooli(ムーリ)」と呼ばれる大根。
アメリカでは普通に「Daikon radish」と呼ばれ、人々の生活に浸透しています。
そして、その中でアメリカで外来語として一番多いのはやはりイタリア語でしょう。
cappcino、spaghetti、pizza、panini、zucchini エトセトラエトセトラ。
 
ここでは、その外来語であるイタリア語をわざわざ使用しながら、
苦しく間違って使用しているケースに限ってご紹介したいと思います。
 
まずは、発音の間違い
 
famiglia   家族。イタリア語では「ファミリア」と発音しますが、
      アメリカ人はためらいもせず、「ファミグリア」と発音します。
 
bruschetta 「ブルスケッタ」スライスしたバンを焼いて
      トマト等のトッピングをのせたもの。英語版発音では
      「ブルシェタ」。ドイツ語で「sch」が「sh」と発音される
      ことから、こんがらがってしまっている感じです。
 
Gianni    人の名前「ジャンニ」が、「ジアンニィ」に。
 
Georgio  有名な「ジョルジョ」も英語では「ジオージオゥ」に。
 
これは、両者のアルフェベットの表記の違いから起こる間違いです。
英語はアルファベット26文字*を使いますが、
イタリア語は「j、k、w、x、y」がない21文字です。
(*ちなみに「アルファベット」という言葉は日常あまり使いません。
日本語で言うアルファベットは「letters(文字)」という言葉をつかいます。)
「j、k、w、x、y」がないからと言って、その発音がないというわけではなく、
違う綴りでその音を表すわけです。
「jo」は「gio」「ja」は「gia」「ki」は「chi」「 ke」は「che」という風に。
イタリア語で「ge」は「ジェ」の発音になり、「ゲ」と発音する為には、
「ghe」と表記します。なぜ「スパゲッティ」のスペルが「spaghetti」なのか
お分かり頂けると思います。しかし、この知識がない英語話者にとっては
イタリア語を正確に発音出来るはずもなく、ただただ英語風に発音し、
間違ったまま、それが段々定着していった訳です。
 
次に、文法の間違い
 
capisci  (カピッシ)「ゴッドファーザー」などのマフィア物の映画に
      良く出て来る「分かったか?」という意味の言葉。
      英語にすると二人称の「Do you understand?」です。
      返答には、当然一人称の「I understand.」が適当で、
      イタリア語では「capisco(カピスコ)」と一人称に活用するのが
      正解。それが、なんちゃってイタリア語のアメリカでは、
      答えも二人称のままの「capisci」と答えるのが一般的。
 
panini   (パニーニ)イタリア語ではサンドイッチの総称です。
      最後が-ni なので、これは複数形。一つの場合は「panino」です。
      アメリカでは、色々なタイプのパンに具を挟んで焼いたものを
      「パニーニ」と呼ぶのですが、一つでも何故か複数形。
      イタリア語話者にとって、「one panini」と文法をわざと間違えるのは
      苦しくてしょうがないのです。
 
grande  (グランデ)イタリア語では、大きいという意味。
      スタバ等でお馴染みのミディアムサイズのコーヒーもこの名前。
      英語では、修飾語は名詞の前に来るので、「grande cappucino」と
      注文するわけですが、イタリア語では修飾語は名詞の後につくので、
      「cappuciano grande」が正しいわけです。
 
nonni   (ノンニ)これは、今まで見た中で一番可笑しい間違いです。
      アメリカでは、親しみを込めて「おばあちゃん」という意味で
      「nana(ナーナ)」イギリスでは、「granny(グラニー)」
      という言葉を使います。そして、アメリカでイタリア家系の
      おばあちゃんを指す時に、この nonni を使います。
      しかし、これは実際のイタリア語では、「おじいさん達」という意味。
      まず、男性名詞。そして複数形。「おばあさん」は同じ単語の女性版、
      「nonna」です。おそらく、最初は、親しみを込めて
      「おばあちゃ〜ん」と言いたくて、「nonnina」という言葉を
      使っていたのではないかと思われます。
      (イタリア語では語尾に -ina -ino を付ける事で「小さな〜」と
      いう意味になり、親しみを表す際によく使います。)
      その、nonnina から -na が落ちて、nonni になったのだと思います。
 
こういった文法の間違いがアメリカで見かけられるのには理由があります。
19世紀終わりから20世紀初頭にかけて、イタリアからアメリカへ
何百万もの移民が大西洋を渡り、新しい土地に移住しました。
今のようにインターネットやEメール、飛行機のなかった時代、
母国から何千キロも離れるということは、母国とのコンタクトが、
一切無くなる事に等しく、母国での社会的変化、文化的変化などに
影響を受ける事もなく、新しい土地で独特の文化として変化していったのです。
 
アメリカで有名なイタリア料理としてしられる「Alfredo」、
チーズとバターで味付けしたパスタ料理で、起源はイタリア、ローマと
言われますが、実際この名前の料理は、現在のイタリアには存在しません。
おそらく、過去のある時期には、実際にこの名前の料理が存在していて、
それを知る人がアメリカに移住し、アメリカ国内にイタリア料理として広まり、
現在に至るまで生き続けているものの、本場であったイタリア、ローマでは、
時代の変遷に連れ、料理の形、名前も変わり、現在ローマでは、
この名前の料理を知る人はいません。(渡米経験がある人を除く)
 
こうやって、20世紀初頭の、ごく一部のごく一時のイタリアを切り取って、
保存し続けた様な、ノスタルジックなイタリアがアメリカで垣間みれるのは、
ある意味、素敵な事だとも言えるかもしれません。