息子・ディーンは今年の夏で8歳になる。

 

夏休みが長〜い学校に通っているため、

その間は仕事に同行させたり、

親戚のお家やお友達の家にお泊まりに行ったり。

 

 

今年はお友達たちが泊まり込みのキャンプ企画に参加すると聞いて

ディーンも参加したいか聞いてみた。

 

 

4日間、キャンプに行く?

ママとパパはいないけど

もしディーンがお友達と一緒に参加したかったら

申し込むよ?

 

 

目をキラキラさせて

「やりたい!!!」

と意気込む息子。

 

 

一人でネンネして、

歯ブラシもお着替えも

ぜーんぶ自分でやるんだよ?

できるかな?

 

「僕できる!」

 

 

お友達たちも参加するのもあり、

弱音を吐かずに「できる」と言い切る。

 

これは、一人で挑戦させるいい機会かもしれない。

自分でやりたいと言ったのに加えて成長にもつながる。

 

よし、じゃあ挑戦してみよう。

 

と、いうことで参加の申し込み完了。

 

 

 

そこからディーンのキャンプに向けた一人練習が始まる。

自分でお着替えを用意し、

言われる前に歯ブラシ。

シャワーも最初から最後までやり切る。

 

甘えんぼディーンは

いつもママとパパのどちらかが見ていないと嫌がるのだが、

キャンプではそうはいかない。

 

自分でもわかっているみたいで

自立の練習を少しずつ始めているようだ。

 

 

嬉しいような、悲しいような。

 

でももう8歳、

周りにはなんでもできちゃうお兄ちゃんみたいな子が

たくさんいる。

そんなお友達たちに追いつきたい一心で

頑張っているんだね。

 

パンツが後ろ前でも、

靴下が左右違っても、

私は何も言わない。

自分で気づいて、あちゃーと学んでくれ。

 

 

最近はなんともお兄ちゃんの表情になってきて、

そこからも自信が見える。

頑張ってるぞ、ディーン。

 

 

 

 

 

 

 

 

昨夜、おやすみーとパジャマを着た後のこと。

 

鏡の前で化粧水を塗っている私の横にピッタリとくっつくディーン。

 

どうした?

 

「なんでもない。」

 

お水を取りに行く時も、

歯ブラシする時も、

私が動けば一緒に動く。

ベッドに一緒に入り、私にべったりくっつく。

 

 

何、どうしたのよ。

 

 

 

 

「僕、やっぱりキャンプいかない」

 

え?

ディーンが急に大泣きし始めた。

 

「マミーとダディーと離れたくない。キャンプいかない。」

 

 

大泣き。

怖いのを我慢して背伸びしていたけど、

急に怖くなっちゃったんだろうね。

 

 

そうか、行きたくなくなっちゃったんだねえ。。

でもね、ディーンが行くって言ったから申し込んだのよ。

だから最後まで自分の言ったことに責任持たないと。

 

「でも僕行きたくない、一人じゃ怖いよぉ〜」

 

 

うーん困った。

 

ここで「じゃあ行かなくていいですよ。」は簡単に言える。

でも、せっかく自分で決意したことを恐怖で曲げて欲しくない。

やり遂げた後は絶対成長しているはずだ。

 

 

わかった、じゃあキャンプ中に怖くなったらすぐに電話しなさい。

そしたらすぐに迎えに行くから。

とりあえずチャレンジだけでもしてごらん?

 

 

「やっぱり勇気が出ないんだよぉ〜〜〜あああああ(涙)」

 

泣き止まないディーンはもはや完全に心折れている。

 

 

 

 

ここでひらめいた。

 

よし、じゃあマミーがとっておきのものをあげよう。

 

 

引き出しの中にある、壊れたネックレスのビーズの一つを

アクセサエリー袋に入れてディーンを呼び出す。

 

 

 

あのね、このキラキラは勇気が出る魔法の石なの。

ディーンがお兄ちゃんになったらあげようと思っていたんだけどさ。

もうすぐ8歳になるでしょ?

だから今がタイミングかなーと思って。

 

 

固まるディーン。

 

 

 

マミーの大事な石なんだけど、

ディーンに渡す時がやってきたのね。

勇気の石

 

でも、これをあげるには2つのことを守ってもらわないといけないの。

1つ、心を強くして、諦めないこと。

2つ、家族以外に石のことを言わないこと。

 

 

 

誰かに茶化されたら困るので2つ目の注意も加えた。

 

この石の効果は絶大だった。

 

 

下唇をぎゅっと噛んだディーンは

大きな目にたっぷり涙をためて、

それが決してこぼれないように我慢をしている。

 

 

そう、心を強くしようとしている。

 

 

ディーン、できるかな?

 

 

私の問いに頷き、ビーズの入った袋を大事に握った。

 

受け取ってくれてありがとう、とお礼を言うと

ぎゅーっと私を抱きしめた。

勇気を振り絞ろうとしていた。

 

 

ビーズを宝箱にしまい、ベッドに入る。

その顔はもはや、さっきまでとは全然違って

何かを決意している顔だった。

 

 

こんな子供だまし、と思うかもしれないが

嘘も方便

子供のスイッチを入れる時に

ほんのすこしのイマジネーションを使うといいのかもしれない。

 

キャンプには行くそう。

今朝、目をパンパンに腫らしたディーンが言っていたよ。

 

 

できる限り、やってみなね。

余計なことは言わず、一言返す。

 

 

 

 

今日から我が家には秘密のビーズが引き出しに入っている。

それはディーンにとって、

どんな宝石やお金よりも大事な

人生の宝物になるのかもしれないね。