先日の1/29(月)の夜
NHKで放送された
プロフェッショナル
「仕事の流儀」
ワンちゃんスペシャル
ご覧になりましたでしょうか。
http://www.nhk.or.jp/professional/2018/0129/index.html
※2月2日(金)
午前0時10分~1時23分(木曜深夜)
総合にて再放送予定。
トリマー、獣医師、ブリーダー。
そして、噛み犬専門のトレーナー・・・。
どうご覧になったでしょうか。
特にトレーナーさんに関して。
あの方の言いたいことは
とてもよくわかります。
その通りだと思う。
私とて
同じように思うけれど
私と決定的に違うのは
犬に対する視点と
飼い主に対する考え方。
なぜ、犬ばかりが
こんなにも
苦労させられるのか。
柴犬が押さえつけられて
罵倒されながら
頭や顔を
思い切りバコバコ
叩かれている映像を見た時には
もうやりきれなくて
隣近所に聞こえるくらい
「やめて(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ーーーーーーー」と
大絶叫ーーーしてしまいました。
やっぱり
犬は引っ叩いて
いいんだなんて
間違っても
思わないで下さい。
ああした道具を
安易に真似しても
事態は
悪化するだけです。
犬に噛まれてまで「凄い」とか・・・
愛がなくちゃ
あそこまで出来ない「感動」したとか・・・
もう本当にやめてほしい。
あのトレーナーさんのやっている事
やり方云々ではなく
あれを
そんな風に
安易に
感動しないでほしい。
感動する前に
凄いとかなんとかいう前に
世間一般に蔓延する
「犬に対する無知」や
「犬に対する常識という名の非常識」を
私達人間は
犬達にまず
詫びるべきだと思います。
或る日、突然
犬は凶暴にはなりません。
毎日少しずつ
積み重ねられ
或る日、様々な我慢や
ストレスの限界を超えて
犬は唸り、噛む手段を
取らざるを得なくなるのです。
噛みは
病気でもなければ
その犬独自の
習性や癖でもありません。
ましてや犬種に
因るものでもありません。
意外に思うかもしれませんが
与えられた環境に
限界を超えて
適応した結果です。
人が犬に噛まれると
心身が想像以上に消耗します。
噛まれて開いた穴から
心身のエネルギーが
漏れ出して行く
みたいになりますし
それが初めてであれば
自分の犬とは言え
激しい恐怖心に苛まれます。
飼い犬が
家族を噛むと
家族全体が
一種のパニックになり
生活全体に
緊張が走り続けるため
家族間での解決は難しく
第三者の介入が
必要になります。
家族への咬傷事故というのは
実は一番
根が深い問題であるのです。
ですから、
どんな言われ方をしても
あの場所へ助けを求める
飼い主さんの気持ちは
止むを得ないと思ってはいます・・・。
でも。
犬はロボットではありません。
修理に出して
良かった良かった
という話ではないはずです。
「優しい虐待」
という言葉があります。
溺愛や過干渉が
心を蝕むことがあることを
飼い主以前に
私達人間は真摯に
自覚しなくてはなりません。
いい子になったね・・・。
待ち望んだ再会に
それを言える資格を
持つために必要なことは
犬への後悔や
懺悔ではありません。
あの場所で
あんな風に暮らして
犬がその心を
折りながら頑張って
身につけたことも
飼い主の飼い方や
犬との向き合い方が同じなら
元の木阿弥です。
もし、犬が頑張って
教えられたことを守り
飼い主との生活を
取り戻せたとして・・・
飼い主の関わり方や心持ちが
以前と全く
変わらないものであったなら
飼い主にとって
都合の「いい子」に
させられただけ
ではないかと思うのは
私だけでしょうか?
そして、何より
それは
愛でしょうか?
無論、登場した飼い主さん達に
愛がないとは思いません。
自分が愛と思っていても
相手にとって
そうではないとしたなら
それを一体誰が
教えられるのでしょうか?
犬達は全力で
伝えていたんです。
愛してやまない人間や
大切な家族に
本当に
必要なことは
もっと
他にあることを。
その事を
噛む事でしか
伝えることが
出来なかった
犬達の無念。
それを思うと
本当に
居た堪れないのです。
彼らなりに
命懸けで
伝えていたのに。
そのことに
誰にも理解も
されないどころか
気づいても貰えない。
人間を噛んだら
絶対にダメだと
わかっているからこそ
噛んだ後の
犬達の心だって
相当にショックを
受けているのです。
なのに
犯罪者ばりの
烙印を押され
追いやられ
あんな風に罵倒され
叩かれた挙句
全てを奪われてしまう。
あまりの理不尽さに
彼らの心情を
想像するだけで
動悸を覚え
吐き気を催すほどに
どん底な気分になります。
ちなみに
噛み犬
という名の
犬はいません。
噛んだ犬を
前科者と呼んだり
書き示すとしたなら
それはその人が
犬達の真の理解者ではないと
吐露しているようなものです。
だって
そんなことを
言ったり書いたりして
一体誰が
得をするんでしょうか。
「彼らのレッテルを
命賭けで剥がそうとしている」
という美談に
目を奪われますが
わざわざレッテルを
張りつけるような
認識のさせ方を
無意識にしている矛盾を
見逃してはならないと
思っております。
噛まれたから凄い?
血まみれなのに偉い?
犬は動物です。
人間の腕を
食いちぎるくらいの
破壊力を持っています。
骨だって砕きます。
おやつに上げている
牛の骨あっという間に
なくなりませんか?
それでも
あの程度で
収めている
犬の努力に
気付いてください。
ちなみに
動物に噛まれて真っ先に
出てくる私の感情は
「無」です。
動物に対する
怒りの感情とかではなく
ただ単純に
ああ。穴が開いたな。とか
指は取れてないかな。とかの
感想というか確認。
そんな感じです。
再会や帰宅を
泣いて喜ぶ飼い主さん。
千切れんばかりに
尻尾をふる犬達。
ある意味では
問題に悩む人も犬も
ご都合主義の
ペット業界の犠牲者です。
飼い主ファースト
飼い犬ファーストを
高らかに謳いながら
ペット業界は
善良で無垢な飼い主を
いかに無知なままで
いさせるかという事に
躍起になっているのです。
だからこそ
あの再会に
「感動」している
場合ではないのです。
あのトレーナーの心情を
「凄い」と礼賛している
場合ではないのです。
噛まれたことを
犬のせいにしないこと。
犬達の全ての行動には
それに至らしめられる
明確な「理由」があります。
そして
その理由の多くは
彼らの中にではなく
私達人間の態度や
心理環境にあるのです。
「自分が噛まれる理由」なんて
思いつかない・・。
こんなに
可愛がっているのに・・・。
それこそが
大切なあの子が
飼い主である
あなたを噛む
理由かもしれません。
過ぎたるは
及ばざるが如し
愛もオヤツも
ほどほどに。