最終的には

人と犬の関係は
子の喜びが親の喜びであり
親の喜びが子の喜びになるように
どんな関わり方であっても
人と犬は根源的に
互いの幸せを
願っているのだと思います。
 
私は日頃から
犬を穏やかに育てて下さいと
お願いしております。
 
それは犬の心身の健康面を
考えればのことであり
飼われている方の幸せに
犬の興奮が必要で
犬の興奮から派生する
あらゆることを許容し
責任を持つというのなら
それはそれで
仕方ないのではないかと
思うこともあります。
 
どんな場合にあっても
犬の興奮が高ければ
他者との関わりや
生活上の問題が出やすくなり
飼い主にとっても
犬にとっても
世界はとても
窮屈なものになりますが
そうした関わり方に
飼い主が喜びを見出し
それを心の支えに
しているとするなら
犬達は飼い主の
そうした要望に
応えることに喜びを
見出してくれるはずです。
 
興奮を共有することで
互いに満足し
シアワセなのですから
それがどんなに
不健全な関わりだと
分かっていても
その人が何かに
困っていない限り
他者の出る幕はないのだと
個人的には
思ってしまいもするのです。
 
何を持って
犬のシアワセとするか
何を持って
犬への愛情とするか
何を犬や
自分自身の
喜びとするかは
すべて
飼い主さん次第です。
 
子を思わない親がいないように
親を思わない子はいません。
人間が思う以上に
犬は人間を思っています。
 
ただ、残念なことに
犬の一生は
どんなに頑張っても
人間の一生に比べれば
とても短いものです。
 
犬を迎えたその日から
犬のニーズを正しく満たし
穏やかに犬を育てることは
犬の健康寿命を伸ばし
悔いなく
互いに安らかな気持ちで
看取りの時を
迎えるためには
欠かせないことであります。
 
犬を迎えたその日から
適切な心理距離を保った
規律ある豊かな愛情を
ご自身の心に
育くんで頂くことは
犬の心理的な
安定のためであるのと同時に
いつの日か
犬を看取る時
ご自身の心が
悲しみに打ちのめされて
壊されてしまわないために
必要なことでもあるのです。
 
とは言え
これらはすべて
私の個人的な願いに
過ぎません。
 
犬の問題行動や
抱えている
お悩みの解決になればと
人と犬にとっての最善を
お伝えしても
それが飼い主さんにとっての
最善にならない場合もあり
思う様な問題の解決に
残念ながら
至らないケースもあります。
 
自分は変わらず
相手にばかり変化を望めば
どんなに蜜月な関係であっても
やがて破綻を迎えます。
 
本当の愛情は
自分が変わる勇気を
持てるかどうかです。
 
犬達は
飼い主の行動に合わせて
良くも悪くも
様々に学習を繰り返し
日々変化し続けています。
 
そうした
目に見えない
犬達の愛情を察し
真摯に受け止める
心持ちがなければ
どんなに犬を
大切に思っていても
犬達の心に近づくことは
出来ないと
私は思っているのです。