犬種により
学習の習熟度や
スピードの速さに
違いがあるとはいえ
それがすべてではありません。
同じ犬種であっても
個々の性格や個性は様々です。
犬達は生活の中で
人が望むこと
望まないことに関わらず
日々学び続けています。
善悪の価値観は
犬にはありませんから。
やっていいか
悪いかよりも
興奮を許すか許さないかで
伝えることが大切なのです。
興奮して飛びついてくる犬が
好きな人は多いですが
犬に好かれる犬は
大抵、慎ましく穏やかなものです。
犬の興奮を喜び
娯楽にできるのは
人間だけであり
その人間の中でも
飼い主だけです。
動物界や自然界での過度な興奮は
餌や命の奪い合い以外に
ありませんが
興奮を娯楽にできる人間は
犬をイタズラに興奮させることで
自分のストレスの発散に
無意識に
利用しようとすらします。
そうした人間の
趣味嗜好を犬に当てはめ
興奮をベースにした関わりを続ければ
興奮から来る
あらゆる問題に
犬を晒すことになるのです。
オヤツやボールで興奮を煽り
何かを仕込む人と
暴力で犬を興奮させ
無意味な闘いを仕込む人と
犬からしたら
どこに違いがあるでしょうか。
オヤツやボールは犬に
「美味しくて楽しい思い」を
させているから良いのだ・・・
という言い訳はやめましょう。
過剰な餌付けや
過剰な運動
過剰な興奮で
実際に健康を
害している犬もたくさんいます。
犬からすれば
自分にされていることが
人道的であってもなくても
飼い主が見せる笑顔が嬉しい。
ただ、それだけなのです。
飼い主が興奮に
喜びを見出していれば
興奮がちな犬になります。
その反対に
飼い主が穏やかさに
喜びを見出していれば
穏やかな犬になります。
犬の小さな興奮の芽に気づき
それに危機感を持ち
対処しようとするなら
犬の興奮を娯楽にしない
飼い主の指向性がなければ
犬の微細な変化に
気づくこともかないません。
ポジティブな興奮と
ネガティブな興奮
それを見極め
その興奮を
常に落とす様に努めることが
家庭に犬を迎え
同じ生活空間を
安全にシェアするための
最初にやるべき
危機管理であり
躾の基本なのです。
褒めやオヤツなどの
興奮により学習を促す
「一見簡単で実は難しいやり方」が
いたずらに
一般化され普及してしまったうえに
犬の失敗や興奮する場面ばかりが
面白おかしくクローズアップされる
マスコミや各種番組により
犬は可愛いが
愚かで頭が悪いと多くの人に
誤認識されてしまっているのです。
念のために申し上げますが
賢くない犬
なんて
一頭も
いません。
その犬の隣に
どんな人間がいるかだけです。
そして、もう一つ
どんなに
訓練
されていても、
どんなに
普段
大人しい
犬でも
犬に100%は
ありません。
そのことを理解し
間違えのないように
導いてあげることが
本当の飼い主の愛情です。
飼い主の無知による
興奮の放置というストレスで
オモチャや寝床
室内の床や壁などへの
破壊活動が激化すれば
それに伴う
誤飲事故などに繋がり
命を落とす危険も生じます。
犬の興奮に無知で
周りの人間の配慮が
至らなければ
どんな犬であっても
状況によっては
加害者にも
被害者にも
成り得ることを
忘れてはならないのです。
優しさという言い訳で
一貫性のない
中途半端な対処に
終始していれば
まるで囚人か
サーカス団のような暮らしを
人も犬も延々と
続けさせられることになります。
しつけとは
命が本来持つ
穏やかさを育て
その命が持つ本質を
慈しむためにあるのであり
人の娯楽のために
あるのではないのです。