「犬は飼い主の鏡」と
言われて久しいですが
私の感覚で
言い直すとするなら・・・
犬はやがて
飼い主の心
そのものになります。
今回のサミットで登壇された
熊本の獣医師
徳田竜之介先生は
先日、情熱大陸でも
取り上げられた
熊本の震災時
ペットとの同伴避難先として
ご自身の病院を開放されたことで
有名な先生です。
そもそもは、
東北の大震災時の
飼い主さん達を見て
万が一の時の
避難先になる病院を作ろうと
思い立たれたのが
ご自身の病院建設の
始まりだったとのこと。
先生曰く
「動物のためになら
人は動きます。」
「どんな老人でも
犬を守りたい一心で
足を引きずってでも
避難所にやってくるんです。」
犬の為なら頑張れる。
避難所から受け入れを
拒否されたなら
何日でも車の中で
犬と暮らすことを選ぶ。
「動物を飼う人達を救うためには
暮らしを分かち合ってきた
動物達をも一緒に助けなければ
人がダメになってしまう」
災害時に限らず
共に暮らす動物達の存在が
人の心を大きく支えうる現実と
動物を引き離してしまうことで
人の心が被る大きな弊害を
真に理解している人は
一般的にまだまだ
少ないのが現状です。
ましてや
災害時のような
混沌とした状態の中では
そうした心理的なことは
たいていの場合
理解も対応も
後回しにされます。
ところで
今の日本で
動物を飼っている人は
ペットが子供の数を
上回っているとはいえ
国民全体の
約2割なのだそうです。
ですから
災害が起きた時など
残りの8割の
動物を飼わない人たちの
言い分が
避難所で一番の力を持つのは
残念ながら事実なのであります。
最近の立て続きの災害で
同行避難を推奨する機運は
高まってきましたが
避難所の室内に
動物を同伴させることは出来ません。
同行避難と同伴避難を
間違って認識している方は
とても多いです。
同行避難の場合
動物を連れて
避難所に来ることは
推奨されているものの
動物の保管に関しての確約は
どんな行政も
出来ないでいるのが実態です。
その現場の責任者に
一任されます。
ちなみに
多くの避難所は
居住する地域の
町内会により
運営されます。
同行避難したとしても
動物達の居場所がなく
外に置くのが偲びなくて
危険な自宅や車に
寝泊まりする人が多いのには
そうした
事情があるのです。
徳田先生は
動物を抱え
右往左往する人たちが
最低限の生活を出来るように
また、落ち着き先が決まるまで
シェルターとして
ご自身の動物病院を
開放されました。
支援物資など必要なものは
被災地でない地域の
飼い主さん達が呼びかけ合いながら
SNSなどの情報に応じて
持ち寄ってくれたとのことでした。
実際にたくさんの
飼い主さんと同伴動物を
受け入れてみて感じたことは
動物達がいることで
病院内は常に
非常時にもかかわらず
明るい雰囲気であり
人間しかいない
他の避難所に漂う
暗く静かな陰鬱とした
雰囲気とは
まったく違っていた
とのことでした。
「人を助けるなら、
動物も一緒に助けないとダメ」
人間の日常が
震災でバラバラに
崩れてしまっている中で
犬達の日常が
変わらずに
傍にあるということが
飼い主さんの心を
どんなにか
強く勇気づけるものになるか
語るに尽くせないと
仰られていました。
そうした実感を
共感に変えて
約39000名の署名を集め
この会の冒頭
自民党の松野議員に
手渡される運びとなりました。
法律は一人一人の声の
集まりの結果です。
動物を飼う人も
そうでない人も
等しく
動物を
愛護する気持ちを育めてこそ
この国の動物愛護の現状は
変わっていきます。
知らない人に
知らせること。
興味のない人に
興味を持ってもらうこと。
そうした啓蒙活動も
もちろん大切ではありますが
それ以前に
動物を飼う私達
一人一人が
ルールやマナー、モラルを
徹底して
まずは、飼わない人たちと
友好的な関係性を築くことが
一般社会に動物愛護を
推進させるための
一番の近道なのです。
甘やかすことばかりを
選択して培った
不躾さを可愛いと思うのは
飼い主だけであり
不躾な動物以上に
それを許す飼い主が
動物を飼わない人たちにとって
最も我慢ならない相手に
なるということを
私達飼い主は
肝に銘じなくてはなりません。
この先
徳田先生が提唱されている
同伴避難所の開設が
社会的に当然のものになったとしても・・・
ルールや、マナーなど
他者への配慮を疎かにしていれば
今度は
同じ場所をシェアする
仲間であるはずの
他の飼い主の人達にとって
我慢ならない相手に
なってしまう可能性があることも
心に留め置いて置かなければなりません。
毎日の生活こそが
同伴避難の予行訓練。
そんな風に考えながら
日々の暮らしの中から
人間社会で生きるための作法である
ルールやマナーを
犬達にしっかり教えてあげて下さい。
それこそが
私達飼い主が
大切な犬を
人間社会から守るために
唯一出来ることであり
巡り巡って
万が一の時
飼い主さん自身の心を
守ることに繋がります。
犬に絶対は
ありません。
しつけに
100パーセントも
終わりも
ありません。
どんな状況であっても
犬を加害者にも
被害者にもしない取り組みを
日頃から
しっかり施し
犬達を導くことが
飼い主としての
義務であり
唯一の権利であるのだと
自戒を込めて
思っている次第なのです。
