人間には人間の生活があります。
犬には犬の
猫には猫の生活があります。
それぞれ、異種な仲間です。
人は犬にはなれませんし
犬は人にはなれません。
猫が犬になることも
犬が猫になることも出来ません。

しかし、同じ家の中で
共に暮らしている仲間です。
この共同生活は
互いにとっての様々な「メリット」に
支えられています。

メリットとは
それぞれのニーズの充足です。

朝起きて、
犬達を散歩に連れ出します。
散歩が大好きな犬達は
大喜びで歩きますし
そんな犬達と一緒に歩くことで
私は健康になります

手つなぎ散歩で
いろんな話をしながら
時々遠回りをしながら
人と犬
互いのニーズを満たします。

朝、寝ている私を起こした後
猫達はバタバタと運動会をはじめて
私が犬達と散歩に出る頃には
朝日の射し込む窓辺で
微睡みの中にいます。

犬達、猫達の
朝のお世話を終え
リビングやキッチンで
私が何かを始めると
犬達は廊下やソファ
クレートの中
それぞれ好きな場所で
眠り始めます。

家の中が彼らの寝息で
満たされます。
この穏やかなひとときのために
私は彼らとの生活を
選んだのだと思うのです。

それぞれが満たされてこその
「共生」です。

人間の生活に
彼らを招き入れたからには
彼らのニーズを満たす
責任があります。

猫達はそのマイペースさで
自らをストレスから守りますが
犬達の多くは
目の前の飼い主の気持ちに
影響されるあまりストレスを
抱え込みがちになります。

残念ながら
飼い主さんの多くは
犬のニーズに対して
あまり知識がありません。

一番よく聞かれるのは
自分が犬だったら○○という
判断基準です。
「自分が嫌なことは
犬も嫌だろうし
自分が好きなことは
きっと犬も好きだろう」という
この考え方は
飼い犬に対しての「自己化」であり
その犬自身が要求している実態からは
かけ離れていたりします。

ちなみに
犬のニーズは
一に運動
二に規律
三に愛情です。

それを
満たせているかどうかは
その犬の様子を見ればわかります。
ニーズが満たされている犬は
基本的に
落ち着いていますし
よく寝ます。

もし共に暮らしている中で
犬に落ち着きがなかったり
寝ることが少なく
飼い主や周囲の動きや音に
過敏に反応しているようなら
その犬のニーズが満たされていない
可能性は高くなります。

なかには、
お散歩も躾も頑張っていて
愛情たっぷりに育てているのに
悩みがつきないという方がいます。
反対に、そんなに
一生懸命ではないけど
特に困ることは
ないという方もいます。

これは、犬が多様性に溢れた
動物であるが故に
一頭一頭のニーズの
要求量に差があるためと言えます。

個々の犬の基本的なニーズ量を
探るために参考になるのは
犬種や年齢性別などですが
それは、あくまで
概要でしかありませんから
個々の犬のニーズを
よりよく理解するためには
日頃からの観察に
勝る物はありません。

飼い主さんのなかには
自分さえ我慢すればいいのだからと
犬が抱えている問題を
問題として見ない方がいます。
この時、自分が
我慢している以上に
犬に我慢を
強いている場合があるのです。

ニーズを満たし
穏やかに過ごせる環境を
犬に提供出来れば
人にとってはただのお留守番も
犬にとっては良質な睡眠を得るための
大切な時間になるのです。

犬との生活に負担を感じる時
犬自身もその生活のどこかに
負担を感じているということを
忘れてはならないと
思っている次第なのです。