少し前になりますが
「四歳児のヒミツ」という
海外のドキュメンタリー番組を
見ました。
一般的に、四歳児と言えば
まだまだ赤ちゃんの域を出ないと
考えがちですが
彼らの日々の成長は
私たちの想像をはるかに超える
目覚ましさに溢れています。
この番組では
その社会性の芽吹きが
とてもわかりやすく
紹介されていました。
番組の呼びかけに
様々なタイプの四歳児が
各地から約10名ほど
幼稚園のような施設に集められ
自由に過ごす様子を
隠しカメラで観察するのですが
彼らは一様に幼く
非力ではありますが
それぞれの環境で身につけてきた
「礼儀」や「道徳観」
「正義感」を持ち合いながら
いかに、その場所で
自分らしく過ごすかを
他者との関係に
悩みながら過ごします。
私はよく人間の子供になぞらえて
犬の成長やしつけの話をしますが
時々、犬と人間の子供を
いっしょくたにするなと
言われることがあります。
しかしながら
犬と子供は
その賢明さと勤勉さ
誠実さという意味に置いて
同等に尊い存在だと思っているので
なぜそんな風に
言われてしまうのかわかりませんが
一つ言えることは
つまらない人ほど
子供や犬を見下して
バカにしているということです。
番組の中の子供たちは
どの子も等しく個性的です。
彼らのやりとりは
見守る大人を冷や冷やさせます。
それはまるで
個々の小宇宙のぶつかり合いであり
小競り合いや
喧嘩もあり、泣きわめく子
物に当たる子、黙り込む子など
それぞれのペースで
様々な葛藤を乗り越えていきます。
葛藤は成長の兆し。
大人からすれば
試験的な環境であっても
子供たちはありったけのエネルギーで
置かれた現実に立ち向かいます。
普段ならきっと
親や周囲の大人が間に入って
くれるのでしょうが
頼れる大人はおらず
自分達で様々な問題を
乗り越えなければなりません。
大人の助けがない
葛藤のなかで
我慢したり
仲間を認めたり
許し許され
守り守られするうちに
他者の笑顔に
心が慰められたり
喜びを感じたりして
世界が広がっていくという
すばらしい関わり合いが
短時間のうちに
形成されていきます。
子供を守ることと
ただ、子供扱いすることとでは
雲泥の差があり
やもすればこちらの思い込みが
成長しようとするものの足枷に
なってしまうこともあるのです。
この番組で紹介された子供たちは
皆、個性的でありながら
最終的には
それぞれの個性を潰すことなく
その場にいる他者と折り合いをつけ
譲り合い
尊重しあいながら
置かれた環境で楽しく過ごす術を
身につけることが出来ました。
子供は生まれながらにして
そうしたスキルを持っています。
私達大人は
子供を子供と思うあまり
大切なことを
見落としてしまいがちであります。
社会で生きていくうえでの理屈や
ことの善し悪しを教える前に
目の前にいる
相手を思いやれる
想像力がなければ
穏やかで豊かな関係を
他者と育むことは出来ません。
子供の想像力は
日々の尊重に満ちた声かけと傾聴に
磨かれていくものであります。
ソーシャルスキル
それは適切な
社会化によってのみ 身につく
生きる上でかかせない社会性です。
人間の子供も犬も
成長過程で
関わる大人や飼い主の
心と言葉が支えです。
子供や犬の社会化は
ともすれば
親や飼い主の
社会化から
はじまるのです。