噛む犬。
なんとも言えない
この響き。

ベッタリと貼られた
「噛む犬」というレッテルは
その犬の未来に
多大なる影響を与えます。

どんな理由があろうと
噛むことは許されない。
その通りですが
犬が「噛む」という行動を取るには
病的な理由を除けば
それを誘発する
理由や状況が絶対にあります。

「噛む犬」という表現には
それに至るまでの
人間の行動の良し悪しは
まったく反映されていません。

人間は、自らの行動を
振り返ることなく
噛まれたことのみを問題視し
噛んだ犬を
何の疑いもなく責めます。

これは、あまりに
アンフェアです。

噛む犬には
噛まずに事態を
乗り越える術を教えるべきですし
噛まれた人は
なぜ噛まれたかを
冷静に反省するべきなのです。

犬は当然ながら喋れません。
しかし、それ以外の…
手話のような仕草を使った方法で
緻密なコミュニケーションを
取り合っています。

大抵の人は
犬のこうした
無言のコミュニケーションに
気付かず
自分の感情でのみ
犬を理解しようとします。

その点、猫は
「気まま」です。

こちらの感情など
お構い無しですし
人間の過干渉を
許すことはありません。

一番驚くべきは
それに文句を言う
人間がいないことです。
これには
猫はそういうものとして
昔から理解され
人間がどうあろうが
猫自身が適切な距離を
置くことが
暗黙の了解になっているから
かもしれません。

それが犬になると
ただ懐かないというだけで
ダメ犬呼ばわり…人間てつくづく
身勝手な生き物です。

身近な犬や猫に限らず
動物と繋がるために
一番必要で大切なのは
「愛情」の前に
「信頼関係」です。

噛まれる人のほとんどは
自分が犬を信頼しているだけで
犬の信用を自分が得ているかを
考えてはいません。

この身勝手な精神性は
よくよく考えれば
犬に対する
一方的な思い込みによる
ハラスメントな行為なのです。

自分の犬なんだから…
可愛がるために
飼っているんだから…
抱っこしたり撫でられるのが
犬はみんな好きなんでしょう…。

でも。
だから。
だって。…と
自分の行為を正当化する前に
その犬にとって
自分の態度の
何かがすでに
間違っていたり
何がしかの過不足があるのだと
真摯に受け止めるべきです。

「噛み」は治らない。
そんな言い方は正直
あまりに薄情です。
正直、噛まれる人間が
悪いんだと彼らの代わりに
言ってやりたくもなります。

厳しいことを言えば
自分の不勉強を棚にあげ
犬ばかりを悪者にして
自分の感情を
満たすことばかりに夢中な人間には
犬に限らず
動物を飼う資格はありません。

私は基本的に
犬や猫をあまり
いじり回しません。
何故なら
彼らと
本当にコミュニケーションを
取ろうとしたら
距離が近すぎては
何も読み取れないからです。

フワフワとした感触を
満喫したいだけなら
高級なぬいぐるみで十分。
逆に犬を
ぬいぐるみのように扱えば
犬が問題行動を抱えることは
至極、当然のことなのです。

ネットを調べれば
いまは本当に様々な
躾の方法や
考え方があります。

しかしながら
人間の態度を
改めないことを前提とした
犬の躾は正直あり得ません。

犬の問題行動は
飼い主や人間の側の
問題行動に端を発していることを
私達犬飼いは絶対に
忘れてはならないと
自戒を込めて
感じている次第なのです。