昨今のペットブームのなかで
犬のしつけに関しての情報は
過去に類を見ないほど
世間に溢れています。

しかしながら、
その情報過多のなかで
迷子になっている
飼い主さんの多さも
過去にない状況かもしれません。

せっかく犬を飼うのだから
万全を期して迎えたい。
ありったけの愛情を
注いであげたいと
溢れる犬の情報に
振り回されてしまって
いったい何が本当なのかが
わからなくなって
しまっている方もなかには
いらっしゃいます。

ペットショップ…
ブリーダー…
知り合いの家から
譲ってもらったり
迷い犬を保護したり
愛護団体や
センターからのご縁だったり…
考えうる限り
犬の出自は様々ですが、
どこから迎えたにしろ
犬は犬です。

どこから犬を迎えたとしても
しつけ以前の
犬という動物に対して持つべき
予備知識は同じ質量で
飼い主になる方達に
与えられるべきでありますが
そうではないのが現状です。

その結果
普段の散歩や
ドッグランで
出会う方達のほとんどが、
ことの大小はあるものの
なんらかの悩みを
抱えていたりします。

しつけの流派は
様々あります。
正直、どれが正しいとは
言えません。

ただひとつ
言えることは
方法論の前に
人と犬のあるべき姿を
理解することが先であり
方法論は
それを具現化するための
手段でしか
ないということです。

まずは、自分が犬と
どんな風に暮らしたいかを
現実的に考えることが
大切なのです。

テレビで見かけるような
様々な使役犬や
ダンスやフリスビー
ジャンプやサーフィン犬など
一味違った犬との暮らしを
夢見る人は
多いかもしれません。

せっかく犬を飼うのだから
そんな風な暮らしを
夢見ることも
あるかもしれませんが
犬をそんな風に
仕立てるためには
飼い主の並々ならない努力が
かかせないのは
歴然とした事実です。

ある日突然
踊り出す犬はいません。
ある日突然
新聞を取ってくる犬はいません。
人がある日突然…と
思っていたとしても
犬が人との暮らしの中で
学びを重ねた
結果である場合が
ほとんどです。

犬は盲導犬になりたいとも
警察犬になりたいとも
ドッグダンスやフリスビーで
世界一になりたいとも
思っていないのです。
それらは、すべて
人間の「希望」であることを
まずは理解すべきなのです。

人の希望に
かなうかどうかは別として
賢くない犬は一匹もいません。

犬の能力を疑う前に
人は自分の理解力を
疑うべきだと思うのです。

過去のストーリーや
犬の出自を気にして
手加減するのは
人間だけです。
犬の社会には
そんな手加減はありません。
過去ではなく
今をどう生きるかを
問われるのが
私達人間が見習うべき
犬の社会なのです。