リアン君が我が家に来てから
早いもので一週間が経ちます。
これまでの
短時間でのセッションからでは
掴みきれなかった
リアン君の生活ぶりが
一緒に生活してみることで
理解出来たことも多く
我が家での
日々の暮らしのあらゆることが
リアン君にとっての
リハビリの時間になっています。
リハビリは
混乱している犬の心理状態を
トリミングすることから
始まります。
新たな環境で
新たな行動習慣を
上書きさせ
行動の修正
行動の強化を試みます。
上書きとは
新たな経験を積ませることです。
また、犬は見知らない環境に
置かれると本能的に
動きを止めて周囲を観察し
危険のない行動を取ろうと
必死になります。
しっかり観察させるためには
必要以上に
構わないことです。
どんな犬も
迎えてからの一週間、
この時期が一番
ルールや振る舞い方の
良し悪しを覚えます。
ですから、この時期
犬に取るべき態度を
明確に指示することは
犬にとって
可愛がられるよりも先に
一番必要なことであるのですが
多くの人はこの時期を
愛情過多に過ごしてしまいます。
拠り所にすべきルールの提示が
人からなされなければ
精神の安定を図るために
犬は自らルールを作ります。
これこそが
問題行動と呼ばれる
様々な問題の
キッカケになるのです。
犬の問題行動のほとんどは
人にとっては
無駄であり
余計なものなのですが
犬にとっては
止むを得ず、仕方なく
やっている場合が多いのです。
ちなみに
多くの問題行動は
つかの間抑えたところで
すぐに再発します。
再発する時間が早ければ早いほど
内的な興奮のレベルが高く
問題の根が
広範囲で深いことが疑われ
個々の犬の状態や
性格により
対応も様々変えて
取り組む必要があります。
犬の問題行動を
読み解くためには
その問題を細く分析し
数学のように因数分解したり
足したり引いたり
掛けたり、割ったりして
試行錯誤と観察を
繰り返す必要があります。
この試行錯誤には
閃きと発想と試行が欠かせません。
推理小説をワクワクしながら
読み進めるように
問題行動を読み解こうとしなければ
人が望む結末を
迎えることは出来ないのです。
しかしながら
混乱し興奮した犬には
人間の意思や意図は
まったく伝わりません。
問題の根が深ければ深いほど
あらゆるものが
興奮のスイッチになります。
もはや、褒めようが
叱ろうが犬にとっては
まったく関係ないのです。
ルーティーン化した
興奮や混乱は
環境も含め
一度リセットし
心理的なトリミングをしないと
リハビリすら
開始することは出来ません。
私の考えるトリミングとは
犬の心理的な下地を整えること
その犬が必要としている
運動やルールといった
ニーズを満たすことです。
リハビリは
様々な方法で
犬の心理的な
過不足のバランスをとり
犬の心理状態を
安定させるのが目的になります。
心理下地やバランスが整えば
犬本来の自然な姿が現れます。
表情が豊かになり
犬達とも自然な形で
交流出来るようにもなり
何より、人の意識を
きちんと反映した行動を
取れるようになるのです。
犬のことは
犬から学ぶしかありません。
100冊の本を読むより
100頭の犬を見ることで
わかることがあります。