我が家の犬達は
皆保護犬です。
それぞれの団体の規定に沿った
譲渡費用をお支払いして
我が家に迎えました。
譲渡費用の内訳は
基本的には医療費の実費分で
団体にもよりますが
三万から五万前後が
相場とされているようです。

ここからは個人的な見解ですが
正直これらの譲渡金額は
安すぎるのではないかと
思っています。

ちなみに
アメリカやヨーロッパの
譲渡費用は
恐らくもっと安いです。
しかし、そうした国々は
動物愛護に対する意識が
社会全体に浸透しているために
国や企業、個人からの寄付金が
億単位で集まるのです。

こんなにペット文化が
賑わいを見せているのに
いまだに日本は
ペット後進国と
言われる理由がそこにあります。

形ばかりを真似して
先進国のやり方や
安い譲渡費用だけを
真似たところで
日本の保護の現場は
ますます疲弊するだけです。

普通に考えても
経済的な後ろ盾があれば
第一に有償の人員を 
増やすことが出来ます。
お世話できる人が増えれば
引き出せる
犬や猫の数も増えますし
シェルターの規模を
大きくすることも可能になり
既存のペットショップを
凌ぐ存在になり得るはずです。

その場所に集う
ボランティアさんや、
里親になってくれた方達へ
飼育や躾けに関しての
エデュケーションや
情報をアフターフォローとして
提供することが可能になれば
譲渡後の飼育や躾けに悩む人を
助けることも出来ますし
単純に、そこで得た
知識を持ち帰り
近しい人達と
共有して貰うことで
犬や猫に対しての
社会全体の意識の底上げにも
繋がることでしょう。

まずは、人と人が
繋がっていける場所を
作ること。
そのネットワークこそ
最終的に犬猫達を助けるために
絶対に必要なものなのだと
私は思っています。

個人のささやかな思いだけが
繋がりあって
支えられているのが
いまの日本の
愛護団体の現状であります。
誰かの生活や人生の犠牲のうえに
犬猫を助けることが
あってはならない。

人と犬猫達
互いの生活の質を落とすことなく
共に生きて行くために
どうするべきか
日本独自のやり方を
考えることが
急務だと感じています。

ペットショップから
犬を買うのに十万円…
保護シェルターから
犬を譲ってもらうのに十万円…

そもそも、犬の命に
値段などないのですから
どちらが意義のある
お金であるかは
言うまでもありません。

ペットショップの犬でもなく
出自がわからない犬に
十万円は高い…
シニアかもしれないのに…
保護した犬を貰ってもらうんだから
あまり無理は言えない…
どれもこれも
きっと、本音だと思います。

しかしです、
保護犬はみすぼらしく
可哀想な犬なんかではありません。
キラキラと光る
保護犬達の
唯一無二の価値を
見いだせない人の方こそ
私は、可哀想な人だと思います。

彼らは、たくさんの
ボランティアさんの
良心に支えられ
手塩にかけて育てられた命であり
殺処分という不運や
不遇を跳ね除けた
勝者であり
強運の持ち主なのです。

ペットショップで
売り買いされる犬達は
飼い主を選んでは貰えません。
みんながみんな
優しい人間とは限らないのに
売られていくのです。

保護犬は
保護から譲渡までに
関わった人の数だけの
愛情と誇りを持って
譲渡されるべきであり
同じように
その愛情と誇りを
引き継ぐ思いで
家族に迎えるべき存在なのです。

保護犬を迎えることが
いつか当たり前になるように
保護犬を迎えることが
いつかステイタスになるような
社会であって欲しい。

譲渡の際
犬のQOLを守るために
ほとんどの団体が
里親希望者に
様々な聞き取りや
家庭訪問を実施します。

貰ってあげるのに
貰ってあげたのに
なんで、そんなに
干渉されなければならないの⁈
たしかにそうかもしれませんが
それを面倒がったり
嫌がる時点で
その人に
犬を飼う資格はないとさえ
個人的には思ってしまうのです。
人も犬も
社会という繋がりの中で
生きている動物です。
独りよがりでは
人も犬もシアワセには
なれないのです。

最後にもう一つ。

これからの高齢化社会で
元気なお年寄りが
散歩のお供にするなら
シニア犬に勝る犬はいませんが
どこの団体も
譲渡には
年齢制限が設けられています。

譲渡上限
平均60歳。

里親自身が
高齢になった時の
後見人を立てることを
譲渡条件にするところも
多いようです。
犬、とりわけ
シニアの犬達にしてみれば
穏やかなお年寄りとの生活は
何よりも有難い環境なので
願ったりかなったりなのですが
このご時世、お年寄りの方達は
自分の子供に負担をかけたくない
という理由で
後見人を立てられず
保護犬を断念されている方が
実はとても多いようなのです。
高齢者の心身の健康を
維持するためにも
犬は大切な、パートナーに
なってくれるはずなのに…

元気なお年寄りほど
犬を諦めきれず
仔犬しかいない
ペットショップで
犬を迎えてしまう方も
少なくないようです。

今後、こうしたケースが
どんどん増えれば
それと数を同じくして
高齢者の飼育放棄も
今以上に増えることに
なりかねません。

ペット先進国の
アメリカやヨーロッパの
動物愛護の環境は確かに素晴らしい。
しかしながら
日本には
日本の風土にあった
やり方があるはずです。

少々、毛色の違う
やり方をする団体が
私はもっとあってもいいと
思っているのです。