先日の金曜日、いつものようにアルマへ
先週、お散歩デビューしたグッチと千ちゃんですが
グッチはあれから日々進化を続けており
日替わりで来られている、ボランティアさんとも
お散歩出来るようになりました。
表情もぐっと明るく豊かになって
可愛さ倍増*\(^o^)/*
素敵なご家族との出会いも近いかもしれません。
グッチには、いろんな人と行くお散歩が
何よりのリハビリです。
のんびりと風を感じながら
あちこち臭いを嗅ぎ
いろんなモノを見慣れること
そして、途中、一休みしたりして
オヤツを食べる余裕が
持てるようになるのが目標です。

続いて、千ちゃん。
以前として「逃走モード」継続中。

先週の練習では
お互いに一歩も譲らずに頑張りました。
その甲斐あって
千ちゃんへのアプローチの仕方も見えてきました。
デッキ等の広いスペースでも部屋の中でも
ノーリードの状態だと人の動きをずっと気にして
とにかく隙をついて動き回ることに注力してしまう千ちゃん。
デッキで走り回れるようになってきてはいたものの
そのこころの大半を占めているのは
いまだに緊張と警戒心なのです。
我を忘れて、他の犬達と遊ばないのは
その心に遊べる余裕がないからです。
この心持ちのままでは
お散歩にいくら頑張って連れ出したところで無意味・・・。
というわけで、今回は
「お近づき作戦」発動いたしました。

まずは、千ちゃんの頭の中にどっかりと根を下ろしている
「逃走」の二文字を諦めていただくべくオンリードに。
と、その前に念のためハーネスを装着。
以前なら、体を触られることへの抵抗が高すぎて
ハーネスの装着を正直躊躇っていたものの
先週のリハビリ開始以降
少しずつではありますが、
千ちゃんの抵抗心が軟化している兆しを
スタッフの方も感じておられるとのことで
千ちゃんの安全の為ですので頑張ってハーネスを装着。
するとどうしたことでしょう、スタッフさんも、拍子抜けするくらいに
割とあっさり着けさせてくれました。
とりあえず、ダブルリード完了しまして庭先へ。

リード自体に慣れてもらうためにも
こちらからの余計なテンションがかからないよう
リードを繋ぎ、そのそばに背中を向けて腰を下ろし
千ちゃんの様子を伺います。

■リードの範囲から出なければ何も起こらないこと。
■人がそばにいることに慣れること。
■人に触られることは嫌だけれど
 マッサージは気持ちいいこと。
■「逃げたい気持ち」を諦める方が楽なこと。
■嫌なことに対して
 激しく抵抗しても無駄だということ。
■抵抗せずに身を任せていたらいいということ。
■人間はそんなに悪いものじゃないと感じてもらうこと。

これらを加味して
千ちゃんへのスモールステップのアプローチ開始です。
まずは、人との接触への拒絶反応を軽減させるために
触られ慣れてもらいます。

その際、千ちゃんの抵抗を
人間側が恐れる雰囲気を出していては
まったくやる意味がなくなりますので
抵抗にあっても大丈夫な手段で臨みます。

犬にとって、人の手は
「人から伸びているもの」でしかありませんから
それを延長します・・・(^_^;)
例えばお料理する時、
熱いフライパンの中で野菜を炒めるために人は
道具を用いてその熱さや火傷の危険を回避します。
それと同じように、
手の延長として仕えるものを手の代わりとして
千ちゃんの顔周りを優しくタッチ
多少抵抗が見えても
その触り方にブレがなければ大丈夫。
やたらに話しかけると余計に緊張しますから
心の中で穏やかに話しかける態度が大切です。

何度も繰り返すうちに、
千ちゃんの「触られることへの抵抗感」が
徐々に下がってきますので
頃合いを見計らって素手で千ちゃんにタッチ。
慣れないと普段以上に優しくしようとの思いから
変に遠慮がちな触れ方になりますが
それはそれで、ぞわーっとして落ち着きませんから
いっそのこと届く範囲を穏やかにマッサージ。
首筋や背中、腰など揉みほぐします。

その結果、精神的に落ち着ける様になれば
態勢も伏せたり、足をくずしたりと
リラックスするようになるでしょうし
オヤツを食べる余裕も出てきます。
正直、今のままでは、
どんなにおいしいお肉を差し出されたって
何ものどを通らないのです。

もしやっている間に、
抵抗感や緊張感が上がって来たなと感じたら
初めのやり方に戻ります。
そうやって、行きつ戻りつを繰り返しながら
少しずつ、千ちゃんの許容範囲を
押し広げていくイメージで繰り返していきます。
千ちゃんには人への「信頼」がありません。
「人の手から逃げること」しか頭の中になかったけれど
これからは「人の手」が千ちゃんにとって
メリットのあるものなのだと気付かせなくてはなりません。

人の手に触れられるとなんだか気持ちよく
そして、オマケに美味しいものが出てくるものなのだと
理解してもらうための関わりが必要なのです。

人の手からオヤツを食べられるようになったら
きっと、今以上に好奇心が働き始めます。
その好奇心を使って千ちゃんの心を覆っている
恐怖心や緊張を乗り越えてもらうのです。
人前で伏せる姿が増えてくれば
リハビリがうまくいっている証。
人への信頼度を上げつつ
本格的なお散歩の練習に向けリハビリは続きます。

私の思う、リハビリとは
その犬の心理状態の
あるべきバランスを取り戻すことです。
その犬の精神が安定するために
必要な情報や経験を
その犬に織り込んでいくこと。

「その犬が心穏やかに
平和と調和の中で生きられるように
するための人からの働き掛け」が
私の考えるリハビリです。

選手によって
トレーニングメニューが違うように
その犬によって、
引き出したり与えたりする事柄は違います。
それを考えるのが
犬に対する、私の仕事だと考えています。
なかには
「触られたくない犬を無理に触るのはかわいそう・・・」
という人が必ずいます。

しかしながら、
方法や様々段階を経るにせよ
私の中には「触らない」という選択肢はありません。

何が犬にとって、不幸かを考えた時
目先のストレスよりも
安寧に生きられない心理状態
その不自由さを抱え続けることの方が
犬にとってみたら最大の不幸だと考えるからなのです。