犬にしてほしくないことを伝えるには
犬の感覚器に訴える様々な「刺激」で伝えます。
しかしながら、
興奮の高まっている犬は
刺激に対して鈍化しているために
こちらの意図が
なかなか届きません。
さらに走り回っている犬に
人が、追いつくことも難しく
そうこうしているうちに
余計に犬を興奮させてしまうことにもなります。
以前アメリカに行った時に
購入したものの、なかなか使う気になれず
ほぼ仕舞い込んでいた道具があります。
それがこちら
エレクトリックカラー
ショックカラー
トレーニングカラー
呼び名は様々ありますが
遠隔で犬にコレクション(刺激)を入れて
コントロールするための首輪です。
刺激は2パターン。
低周波のチクチク系と
バイブレーションのブルブル系。
0~100の加減が可能で
その犬の興奮のレベルに合わせて調整します。
この時、犬の興奮で
掻き消える刺激では意味がないため
犬の興奮と同じか、それを上回る刺激から
始めないことには意味がありません。
強から弱へと移行させる意識が大切です。
弱から強への移行は慣れてしまい
天井知らずになる可能性があるからです。
正直、この道具を使うことには賛否両論あります。
こんな道具を使わなくとも済む、犬も人もいますが
逆に、この道具が必要な犬や人がいるのも事実です。
また、技量的な意味合いとしての必要性と
環境的な意味合いでの必要性の両方があります。
いずれの場合でも、この道具を使いこなすには
犬の心理が読めていないと
単なる「罰する道具」となってしまう危険性があり
そうなってしまえば、いずれ最大の刺激にも犬は慣れ
意図を伝えるための道具としては
使い物にならなくなります。
タイミングがすべて。
タイミングさえ間違わなければ
犬を痛めつける・・・ものではないのです。
とはいうものの
正直、この道具を用いるに当たり
帰国後、何度か使ってはみましたが
ずっと躊躇がありました。
やはりイメージ的な
後ろめたさとでも言いましょうか。
しかし、先日のセミナーで
「ガラガラ蛇を回避させるための
道具として使われている」と聞き
この道具について
また、犬にとっての本当の意味の
「健やかな育ち」を
改めて考え直してみようと思いました。
思えば、あのシーザーも
広大な耕作地で
放し飼いで飼われている犬の
巨大なトラクターのタイヤを追い回すという
危険な癖を
止めさせるときに使っておりました。
先日の「猫トレ」等の
室内でのトレーニングでは
何度か使っていましたが
今回、遠隔操作が一番発揮されるであろう
近所のドッグランへ。
結局のところ
飼い主である私が
この道具を正しく理解し、使うためには
まずは、使ってみるしかないとの結論に至り
レッツトライ。。。。
ルイスのシェパードらしさでもある
パトロール癖。
これも、いき過ぎれば
ただの問題行動ですので
「ほどほど」を学んでもらうのが目標です。
ドッグランには
玉付きの子もまだまだたくさんおります。
ルイスからしてみれば
それだけで
警戒の対象になりますが
そのハードルが低すぎるのは
ある意味迷惑です。
この日も、ルイスは意気盛んにパトロール。
ここで改めて考えてみます。
このパトロール癖を放っておくのと
止めさせるのとどちらが
ルイスの身体に優しいか・・・。
パトロールしている間
もしくは、お説教モードの際も
間違いなくルイスは興奮しています。
途中、割って入り何度か
ブレイクさせるものの
たいていは、ほんのつかの間で
再びパトロール・・・。
しっかりと諦めるまでに
時間がかかります。
この「興奮」をどう捉えるか。
興奮≒血圧の上昇≒血糖値上昇≒心拍上昇・・・
これを人間の体に置き換えたとするなら
身体に良い影響を
生むものではないことは一目瞭然。
犬にとって何が優しいか
何がかわいそうか・・を考えたとき
出来る事なら、興奮は長引かせず
すぐに下げた方が身体的にも
精神的にも良いのではないかという結論に。
そしてこれは、犬の健康面としてだけでなく、
ドッグランでの事故のほとんどの原因が
「過度な犬の興奮」にあるということを
思えば、犬を興奮させないことは
様々な危険を回避することにも
なろうかと思います。
広い場所で、オフリード。
遠隔操作で、即座に興奮を下げたい時
この道具はその実力を発揮します。
その「興奮」は必要なし。を伝えるためには
興奮がマックスになる瞬間に
コレクション(刺激の合図)を入れて
ブレイクするしかありません。
離れた場所から犬に駆け寄るのでは遅く
犬の興奮の速度に人が
追いつけないのは明らかなのです。
本来、道具は出来るだけ使いたくない。
首輪もリードも最低限のものでよい
という考えだったのですが
瞬間的な嫌悪刺激でしっかり犬に学ばせて
自主的に問題になりそうな場面を
回避するという知恵や選択を与えられるなら
その方が犬には優しいと思うようになりました。
犬はまったりしていたいもの。
そのために必要な
道筋の一つとして
こうした道具を用いるのも
方法のひとつかなと思っています。
ちなみに
この日の結果ですが
パトロールから解放されて
のんびりまったりと過ごすことが出来ました。
「君子危うきに近づかず」☆