僕たち犬には
いい犬も
ダメな犬も
悪い犬もいません。
どこで、生まれて
どこで、育っても
僕たちはただの犬でしかないのに
「可哀想な」犬
「おバカな」犬
「幸せな」犬という色んな張り紙を
人間は貼るのが好きみたいです。
ところで…
人間は僕たちを見ると
まず、食べ物をくれます。
お水も用意してくれるし
温かいベッドも用意してくれますし
ついでにマッサージや
優しい言葉をかけてもくれます。
人間は僕たちにとても親切で
僕たちの顔色をよく見ていて
僕たちは何しろ快適に暮らしています。
嫌なことや怖いことは
僕たちのピカピカの歯を見せれば
やらなくて済むのでとても楽です。
そして、何しろとても暇です。
暇つぶしに、椅子の脚をかじったり
絨毯に穴を開けたりしてみますが
すぐに、飽きてしまいます。
あっちこっちに、オシッコをしたりウンチをすると
人間は何だが悲しそうな顔をしますが
不思議なことに
時々オヤツをくれたりします。
人間達は僕たちがホントは働き者だって知りません。
人間達は毎日忙しく動き回っているけれど
僕たちだって、この広い家の中で自分の身を守るために
朝から晩まで、寝ずの番をしています。
いつ何時、敵が現れるかわからないし
他に頼まれている仕事がないから
全力投球で頑張ります。
いまここに、人間がいても
優しいだけの人間達には僕たちを守ることなんて
出来っこないって思うから
そんなこんなで家にいても、外にいても
僕たちの気は休まることなんてありません。
安心できないから、熟睡出来なくて
いつも寝不足でイライラしてるし
そのうえ、人間達が思い通りにならなかったり
僕たちに勝手なことをしようとすると
僕たちは我慢ならなくなって
思いっきり噛みついて
言うことを聞かせたくなるんだ。
それから、人間達は僕たちに服を着せたがる。
もちろん、南国産まれの子たちにはこの冬の寒さは
耐えられないだろうから洋服着るのもわかるけど
基本的に僕たちは自分が
何を着ているかなんてわからないし
歩くのにも、遊ぶのにも、話すのにも
邪魔なだけだなんて言ったら
きっと、人間達は悲しそうにするんだよね。
だから、僕たちは我慢するんだ。
僕たちは、人間が好きだから
そんなことで喜んでくれるなら
喜んでどんな格好でもするけどね。
僕たちが人間だったなら
今の僕たちはとても
恵まれていてシアワセなはずだけど
なんだかずっと、気分が浮かないのは何故だろう。
人間達は、相変わらず僕たちの顔色を気にして
至れり尽くせり…
それなのに、そんな人間達を見ていると
最近はなんだか酷くイライラするんだ。
ふと通りの向こうに目をやると
僕たちとは違って
ゆったり悠々とお散歩している犬たちがいて
その犬たちの視線の先には
堂々と胸を張って
微笑みながら先を歩く人間がいる
その人間の視線は
広く明るくこの世界を見つめていて
犬たちの顔色なんか
まったく気にする素振りもないけれど
犬たちは、すっかり安心した様子で
その後を歩いている。
僕たちは咄嗟に繋がれたリードを振り切って
その犬たちの後を追いかけそうになった。
僕たちがずっと求めていたもの……
その時
初めて声が聞こえた。
「止まれ」「戻れ」という毅然とした声が。
僕たちは、ハッとして我に帰り立ち止まった。
なんだ…。と僕たちは思った。
なんだ、ちゃんと言えるじゃないか
僕たちにどうして欲しいか
どうするべきかを
ハッキリと言ってくれるのを
僕たちは、ずっと待っていたんだ。
同情するなら「指示」をくれ。
慰めや特別扱いじゃなくて
僕たちが犬として
何の不安や心配もなく
あなた達人間の後に
ついて歩けるようにしてくれたなら
それが僕たちのほんとうの
幸せなんだと気づいてもらうには
いったいどうしたら良いんだろう。
いい犬も
ダメな犬も
悪い犬もいません。
どこで、生まれて
どこで、育っても
僕たちはただの犬でしかないのに
「可哀想な」犬
「おバカな」犬
「幸せな」犬という色んな張り紙を
人間は貼るのが好きみたいです。
ところで…
人間は僕たちを見ると
まず、食べ物をくれます。
お水も用意してくれるし
温かいベッドも用意してくれますし
ついでにマッサージや
優しい言葉をかけてもくれます。
人間は僕たちにとても親切で
僕たちの顔色をよく見ていて
僕たちは何しろ快適に暮らしています。
嫌なことや怖いことは
僕たちのピカピカの歯を見せれば
やらなくて済むのでとても楽です。
そして、何しろとても暇です。
暇つぶしに、椅子の脚をかじったり
絨毯に穴を開けたりしてみますが
すぐに、飽きてしまいます。
あっちこっちに、オシッコをしたりウンチをすると
人間は何だが悲しそうな顔をしますが
不思議なことに
時々オヤツをくれたりします。
人間達は僕たちがホントは働き者だって知りません。
人間達は毎日忙しく動き回っているけれど
僕たちだって、この広い家の中で自分の身を守るために
朝から晩まで、寝ずの番をしています。
いつ何時、敵が現れるかわからないし
他に頼まれている仕事がないから
全力投球で頑張ります。
いまここに、人間がいても
優しいだけの人間達には僕たちを守ることなんて
出来っこないって思うから
そんなこんなで家にいても、外にいても
僕たちの気は休まることなんてありません。
安心できないから、熟睡出来なくて
いつも寝不足でイライラしてるし
そのうえ、人間達が思い通りにならなかったり
僕たちに勝手なことをしようとすると
僕たちは我慢ならなくなって
思いっきり噛みついて
言うことを聞かせたくなるんだ。
それから、人間達は僕たちに服を着せたがる。
もちろん、南国産まれの子たちにはこの冬の寒さは
耐えられないだろうから洋服着るのもわかるけど
基本的に僕たちは自分が
何を着ているかなんてわからないし
歩くのにも、遊ぶのにも、話すのにも
邪魔なだけだなんて言ったら
きっと、人間達は悲しそうにするんだよね。
だから、僕たちは我慢するんだ。
僕たちは、人間が好きだから
そんなことで喜んでくれるなら
喜んでどんな格好でもするけどね。
僕たちが人間だったなら
今の僕たちはとても
恵まれていてシアワセなはずだけど
なんだかずっと、気分が浮かないのは何故だろう。
人間達は、相変わらず僕たちの顔色を気にして
至れり尽くせり…
それなのに、そんな人間達を見ていると
最近はなんだか酷くイライラするんだ。
ふと通りの向こうに目をやると
僕たちとは違って
ゆったり悠々とお散歩している犬たちがいて
その犬たちの視線の先には
堂々と胸を張って
微笑みながら先を歩く人間がいる
その人間の視線は
広く明るくこの世界を見つめていて
犬たちの顔色なんか
まったく気にする素振りもないけれど
犬たちは、すっかり安心した様子で
その後を歩いている。
僕たちは咄嗟に繋がれたリードを振り切って
その犬たちの後を追いかけそうになった。
僕たちがずっと求めていたもの……
その時
初めて声が聞こえた。
「止まれ」「戻れ」という毅然とした声が。
僕たちは、ハッとして我に帰り立ち止まった。
なんだ…。と僕たちは思った。
なんだ、ちゃんと言えるじゃないか
僕たちにどうして欲しいか
どうするべきかを
ハッキリと言ってくれるのを
僕たちは、ずっと待っていたんだ。
同情するなら「指示」をくれ。
慰めや特別扱いじゃなくて
僕たちが犬として
何の不安や心配もなく
あなた達人間の後に
ついて歩けるようにしてくれたなら
それが僕たちのほんとうの
幸せなんだと気づいてもらうには
いったいどうしたら良いんだろう。