秋のセミナー月間に突入しておりますが
先日、中島かおるさんの
「レスキューカンファレンス」に参加してまいりました。

内容的には、
「現在のアメリカのレスキューの現状と
今後の日本のレスキューの在り方などを話し合う場」
というコンセプトで、まずは、アメリカの現状を
動画や写真を使い、かおるさんが説明。

日本ではまだまだ馴染みがありませんが
アメリカではずっと以前からレスキューを
きちんとビジネスとして仕立てることで
レスキューに関わる全ての事柄において
好循環を起こすよう機能させることに成功しています。

かおるさんいわく、アメリカでは
「金のない奴はレスキューに手を出すな」というそうです。

これは、「かわいそう・・」からはじまる
裏支えのないレスキュー活動では
根本的な解決にはつながらず
二次災害のようなことになりかねないということを
暗に示唆しています。

レスキューには何しろお金がかかります。

アメリカには「寄付」という風土があるけれど
日本ではまだまだ定着しきれていません。

アメリカのレスキューは企業をも
巻き込んで展開しているけれど
日本ではレスキューという慈善活動に
経営的視点を取り入れることに抵抗感が強く
アメリカのようなシステム化には程遠いのが現状です。

アメリカでは、ペットショップの一角を借りて
毎週譲渡会が行われます。
もちろん、そのペットショップでは生体は販売していません。
一般的に、犬猫を飼いたいと思ったら、
一定額のアダプション費やドネーション(寄付)などをして
保護団体から「譲渡」してもらい家族に迎えるのが普通です。

※もちろん、パビーミルやブリーダーも存在しますので
そこから買う人も中にはいます。

そして、そこで里親になった人には
そのペットショップから
その店で使える
フードなどのクーポンが発行され
ペットショップとしては
今後に繋がるお客が増えるという仕組みです。

レスキューには「里親」を
里親希望者には「犬」を
ペットショップには「お客さん」を

こうして、みんなが幸せになれる
ハッピーサークルが出来上がるわけです。
この発想が日本には残念ながらまだありません・・。
生体を置かないペットショップは
だいぶ増えてはきましたが
まだまだ大きな団体や企業の腰は重いままです。

でもきっと、思うよりもずっと早く
そういうことが可能になる日が
来ると私は思っています。
何故なら・・・

日本人は知らないだけなのです。
犬や猫達の本当の現状を。
これまで、何も知らずにいたからこそ
何の違和感も感じていなかったのです。
しかし、その人々の無知の壁は
インターネットの普及により
決壊しつつあります。
そして、レスキューということ自体
いままさに大きな発想の転換点に
来ているのかもしれません。

かおるさんの住む
アメリカ・サンディエゴには
「ヒューマンソサエティー」という施設があります。
これは、私設の保護施設で
大変すばらしい環境が
保護された動物たちに与えられています。
パッと見は、郊外の商業施設のように明るく清潔
一部屋ごとにインテリアが施され
まるで、動物たちの
アパートメントのような作りが徹底されています。
ロスに行ったとき、ココのことを知っていたなら
是非足を延ばして行ってみたかったなと思いました。

この施設の素晴らしい所は
保護施設でありながら
それを、子供たちの教育にも
活かしているというところです。
「アニマルキャンプ」と称して
子供達を巻き込んだイベントが
定期的に開催されるとのこと。

どこの国でも子供達が動物を通して
学ぶことはとても多いのです。

日本では、忘れ去られた感のある本当の教育を
こんな風に受けられる場があったらなと
心底思いながら話を聞いておりました。
「共感力」「おもいやり」は
言葉がしゃべれない動物達だからこそ
育めるものです。
相手の心を想像し共感し、思いやる。
こんな基本的なことすら
満足に教えられる大人がいまは少ないのです。
以前の記事にも書きましたが
「動物力」で子供たちの心を救いたい・・。
これは、ひそかな私の願いです。

このキャンプのもう一つの利点は
子供を巻き込むことで
大人も巻き込めるということです。
第三者に対して
同じ立場で同じように共感しあうという経験は
親子間の信頼度をあげることにもつながりますし
親自身の教育の場にもなりえます。

アメリカでは、この施設だけでなく、多くの保護団体に
子供達もボランティアの一員として
自主的に参加できる仕組みがあります。
しかし、登録するには事前に
それぞれの団体で、きちんと決められたクラスを受け
出来ることと出来ないことや
担当できる動物の範囲を年齢制限で区別するなどして
人と動物の安全を確保するべく
きっちりとシステム化されているというお話もありました。

話を戻します。

レスキュー団体は「経営」的な戦略を持つべき
これが、かおるさんの主張です。

子供やその親や
様々な企業を巻き込んでのイベントの打ち出し。
シニアの人材を預かりさんとしてもっと活用すること等々
様々なアイデアの提案がありました。
アメリカと日本では文化の土壌が違いますから
すべて、同じようにはいかなくても
今後、目指すべき方向性として
大いに活用できるアイデアばかりだと思いました。

アメリカの現状でだいぶおなかがかなり一杯ですが
この会合に出席された保護団体の方で
「里親詐欺」の被害に遭われたという方からの
お話しがありましたので合わせてご報告いたします。

今現在、動物は法律でいうところでは「モノ扱い」です。

手近な動物をストレス発散に殺したりしても「器物損壊」という
とても軽い刑にしかならないのが現状なのです。
こういう、事件を起こす人間の多くは
いずれその対象を人間へと移す傾向が強いこともあり
その扱いを巡り様々議論され始めてもいますが
被害に遭った犬や猫のみならず
里親のもとでの幸せを願って送り出した
保護主さん達のご心痛は計り知れません。
この方の裁判では、その嘆願を聞き入れ
「詐欺罪」も追加され、執行猶予というカタチで
犯人を監視下に置くという措置になったとのことでした。

里親選びは条件を厳しくしすぎると
譲渡が難しくなってしまうという
大きなジレンマを抱えています。

今回のお話もおそらくは
きちんとした手続きを踏んだうえで
心ある普通の人に
譲渡したつもりだったはずなのに
起こってしまったのです。

その後、その団体では
可能な限り、譲渡先に対する追跡調査をしたそうです。
ほとんどは、大丈夫だったものの
何件か脱走などで行方知れずになっていた子もいたそうです。

こういったことは、
おいおい保健所と団体の信頼関係に影響して
引き出しの許可が下りなくなる場合があるので
団体としては、里親さんに対して
少し厳しく、犬の管理を言い渡すことになるのです。
このあたりのことだけを取り上げて
里親はめんどくさいという人も中にはいますが
そんなことすら、めんどくさいなら
そもそも犬を飼う資格はないのです。

そういう人こそ、安易に犬を買って、
簡単に犬を捨てる人間なのだと思います。
レスキューとは
人間の教育ありきなのだと
つくづく考えさせられました。

とても長くなってしまいました。
正直書き切れていないこともありますが
これで「レスキューカンファレンス」の
報告とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき
感謝いたします<m(__)m>☆