心を閉ざした犬達

今もどこかで、イタチごっこが続いています。

遺棄する人、捨てられる命。
保護する人、拾い上げられる命。

犬達は、境遇を嘆くことなく、
ひたすらに受け入れて生きます。
しかし、人と繋がるための心に
ひっそりと鍵を掛けるものもいます。

心を閉ざす犬は、閉ざさなければならないほどの
感受性があるのです。
それは、多感な中学生のように。

シャットダウンの子達には、
ゆったりとした時間の中で行う
リハビリが必要です。

過去に囚われることなく、ゆっくりと信頼関係を築くこと。
挫けた心の不安定さを正し、そっと背中を押すこと。
自分の気持ちで解釈せず
相手に集中し、さり気なく寄り添いながら
相手の流れに合わせて、流れを変えるきっかけを探ること。
自分の良かれと思う態度が
不安定な相手にとっては
すべて裏目に出ることがあるという事実を受け入れること。
シャットダウンした犬の目を覗いて見たい気持ちを抑えること
触れたい気持ちを抑えること、話し掛けたい気持ちを抑えること。

シャットダウンする犬達の多くは
穏やかで、思慮深い家庭犬になる素質に溢れている犬達です。

ほんの少し、リハビリに時間は掛かっても
その分、たくさんの喜びを運んでくれる気がします。
心を閉ざした犬達は
可哀想なだけの犬ではありません。
生きるために懸命な犬達です。
だからこそ、同情なんかしている暇はないのです。
可哀想ねと頭を撫でる前に、
新しい一歩を踏み出させ、経験を上書きさせることでしか
犬は救えないのです。
同情や、情けだけでは
人も、犬も駄目になってしまいます。