流季

はみだして
道はひとつでないと知り
飛び出して
厳しさにくるまれていたものを知る

立ち竦んで
その足元に揺れる
名もなき花とおしゃべりをして

何かを飛び越えていくたびに
見知らぬ人が友に変わる

ジタバタと抗っていた
見えない壁は
誰かの意地悪なんかじゃなく
私という人間の
仕切りの悪さと知るに至る

季節がどちらに流れているか
わからないような
肌寒い夏の日
冬の小春日和

心許なく孤独をあやしながら
見上げていた視線が
やがて誰かを見守るものに
変わっていく

はみだしたぶん
世界はほんの少し広がり
飛び出したぶん
はっきりとした輪郭を持って
世界は私に語りかける

すべては心の有り様
それを知るため
人は生きているのだと