ペタしてね ペタしてね


さわやかな6月の夜のことです。

私は、標高3,000メートルのシエラ高原で、寝袋に入って、横になっていました。


サンフランシスコ・ベイエリアの明かりから遠く離れたシエラ高原では、空には漆黒の闇が広がっていました。空には、またたく光が点在し、はるか彼方の銀河が柔らかな光を放っていました。目を凝らすと、ぼんやりとした光がよりはっきりし、それが星だと簡単に分かりました。それらの星を数えることなど、到底できないでしょう。もし数えられたとしても、何年もかかるに違いありません。それほど無数に星があるのです。そして、そこに、そのどこかに、何が存在するのだろうと思いをはせると、私はすぐにインスピレーションで満たされます。宇宙の神秘を思うと、謙虚な気持ちになるのです。




夜空に魅了されながらも、私は目を開くのもやっとの思いでした。ぼんやりとですが、不安を感じていたからです。現実の世界に戻れば、間違いなく徐々に夜空の神秘を忘れていくだろう、という不安です。




現実の世界では、仕事や人付き合い、支払いなど、やるべきことに直面します。こうしたものは、夜空や人生の神秘性について考えるのに、妨げになります。少し前に、同じ日に、2つの相反する話を聞きました。どちらも興味深い話でしたが、話を聞いて、神秘について考えることの難しさを痛感しました。以下が、その2つの話です。




1つめは、オーディオCDからの話です。キャロライン・ミスさんは、近い将来では、星空を見ずに育つのが一般的になるだろうと言いました。これは歴史上、初めてのことだとキャロラインさんは言います。高層ビルやネオンに囲まれ、天空にあるものは、よほどの特徴がない限り、ほとんど見えないという世界を想像してください。常に明かりがともりスモッグが蔓延する都会で育ち、その環境にずっと身を置くことを想像してみましょう。




ふたつ目の話は、同じ日に後で聞きました。公共ラジオ局の放送で、ハッブル宇宙望遠鏡について取り上げていたのです。望遠鏡の事業を担当する主任科学者は、人類は誕生以来、どれほど宇宙の起源について知りたがっていたのかを説明しました。彼は、私たちは初めて宇宙の起源について理解したと言っていました。私たちはぼんやりとですがビッグバンの残骸を見られますし、実際に、誕生直後の宇宙の音を聞くこともできます。




私たちが夢見た末に実現させた世界は、なんと奇妙な世界でしょう。私たちは、技術や科学の進歩によって、星々の秘密を知ることができました。でも同時に、技術の進歩によって、星を決して見ることのない社会を作り出しています。私たちの世界や宇宙への理解は深まりました。でも、精神的な面では、私たちは、自分たちの存在の本質である神秘性から離れてしまいました。そして、各個人も、人生において、偉大なる神秘的な力から離れるという危機に直面しています。




あなたが最後に夜、寝そべって空を眺めたのはいつですか?最後に星の数を数えたり、おおぐま座を描いたりしたのは、いつでしょうか。この広い宇宙の彼方には誰が、あるいは何があるのかと最後に考えたのはいつですか?広い宇宙で自分はどこにいるのだろうと最後に考えたのはいつでしょうか。




人間にとって、神秘性は力の源です。私たちは、未知なる存在から、創造性、情熱、癒やし、インスピレーションなどを感じ取ります。芸術家、科学者、発明家、そして哲学者は皆、発見や創造、問題解決の際の神秘的な性質について述べています。あらゆる文化において、シャーマンや心霊治療家、未知のものにこそ、癒やしたり、魂や心、体を変化させたりする力が宿っていると信じています。私たちは神秘性から離れると、個人としても、集団としても、力の源から離れてしまうのです。




情熱も神秘性から生まれます。過去や現在の親密な人間関係について考えてみましょう。関係というのは、日々の出来事や事務的なやり取りを通じて深まるものではありません。優しさや肉体関係によって親密になるわけでもありません。これらは、信頼関係の基礎を築くためには不可欠の要素です。でも、情熱の炎が燃え上がるのは、神秘的な発見をした時です。恋人がこれ以上なく素晴らしい贈り物をして、皆さんを驚かせる時。あるいは、花の香りをかごうとしてパートナーが花の上にかがむのを、思いがけず目にした時。パートナーが初めて怒りを表わした時。ずっと隠していた悩みを、信じて打ち明けてくれた時。こうした時に、神秘の扉が開きます。




恋人の意外な一面、知らなかった姿を発見する瞬間こそが、絆を深めます。そして、その瞬間は、皆さんそれぞれが個々として成長し、生まれ変わる瞬間でもあります。関係を支えるのは愛かもしれません。でも、愛の炎を燃え上がらせるのは、神秘的な発見です。愛情が薄れると、関係が終わるのではありません。むしろ、神秘の扉があまりにも長い間閉ざされているために、関係がマンネリ化するのです。




これは皆さんの私生活にも同じように当てはまります。個人の神秘の扉を閉めると、皆さんは自ら、力と情熱を絶やすことになります。その扉を再び開く、または、さらに大きく開くためには、どうしたらいいでしょうか。神秘の扉を開く方法のひとつは、周りにある神秘性に気づき、享受することです。ちっぽけなどんぐりが、どうして壮大なカシの木に成長するのでしょう?渡り鳥は、どうやって移動する時を知るのでしょうか。目の前のコンピューターの仕組みは?宇宙の彼方では、何が私たちを待っているのでしょう?




科学者が全てを知っていると思い込んではいけません。もしクリストファー・コロンブスが当時、一般的だった“常識”を受け入れていたら、彼は決して航海に出なかったでしょう。もし、アインシュタインが物質や宇宙、時間に関する既存の学説を信じていたら、相対性理論を生み出すことはなかったはずです。




神秘性を享受しましょう。既存の考えを覆すのです。自分だけの答えを見つけてください。興味を引くことに出会ったら、子どものように好奇心を持ちましょう。未知なる神秘への扉を開けば、皆さん自身の神秘の扉もすぐに開きます。そうなれば、皆さんはインスピレーションや創造性、力のあふれる神秘の泉に近づけるでしょう。




MIMのエドワード・ミルズ氏は、ライフコーチであり、教師、講演家でもあります。人々が、もっと幸せに、十分に、天賦の才を世界のために使えるよう、導いています。


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