「あっ、まずい。遅刻する」




今日は、知り合いから夕食に誘われているのだ。

待ち合わせは19時。

場所は四谷三丁目。



タクシーを拾い、目的の店へ急ぐ。

店の名前は《名門》

焼肉屋さんだ。


5分遅れて到着。

Mariaの【笑う門には福来る】






カランカラ~ン






ドアを開ける。

入った瞬間、かべ一面の写真に圧倒される。

来店した有名人の方々の写真やらサインやらが、

かべ一面に飾られているのだ。




「あっ、こっちこっち!」




声のする方向へ顔を向け、おそくなってごめんなさいと

笑顔であいさつをする。



おひとりはHさん。

もうおひとりはTさん。

二人とは、去年出かけたセブ島でお世話になったのだ。




「日本に旨い焼肉屋があるんですよー」




と、セブ島でHさんにお話しを伺い、行きたい行きたいと

思っていたものが、今日、ようやく実現した。

セブ島在住のTさんが日本に帰省しているということで、

良かったら、と集まったのだ。




「なんか、このお店すごいですねっ」




所狭しと壁に飾られている写真を見ながらつぶやく。




「ここね、有名人が通うお店なんだよね。」




と、色々教えていただく。




広末涼子さんや本田選手、イチローや小池徹平くん、

キム兄や品川庄司さん、アントニオ猪木さんや

石井一久さん、岩村選手や安倍元首相まで

本当に多くの方が常連さんらしい。



真っ赤に酔っぱらった大沢あかねちゃんの写真や、

清原選手やくみっきー、大塚愛ちゃんの写真も。

どうだろう・・・

ざっと、1階だけで200枚くらいはあるのだろうか。



かべの写真を撮りたかったのだが、ちょっと

気が引けてやめてしまった。

撮れば良かったなー、と後から後悔をする。






まずは、ビールで乾杯し、久しぶりの再会を祝う。

そこから常連であるHさんが、色々と注文をする。



しばらくすると、ぞくぞくと料理が運ばれてきた。

ここは、どうもお肉は自分で焼かないスタイルらしい。

Hさんと仲良しの店員さんが、手際よく焼いてくれ、

一つ一つお皿に分けてくれる。




まずはレバー!

Mariaの【笑う門には福来る】



生肉のことが問題になってはいるが、迷わず箸をのばす。

おっ、おいしすぎるっ!!!


あまりの美味しさに、

「ひーっ!」

と叫んでしまったほどだ。



そしてお次は、タン塩!

Mariaの【笑う門には福来る】



文句なしにおいしい!



お次はこれ。

なんでしたっけ?

名前を忘れてしまった。

Mariaの【笑う門には福来る】


と、と、と、と、とろける~っ!!!




そしてコチラ。

通称、たまご。

Mariaの【笑う門には福来る】


お肉の説明をして下さったのだが、

食べるのに夢中ですっかり忘れてしまった!



で、次がコチラ。

特選ハラミ。

Mariaの【笑う門には福来る】






こちらをカットして、

Mariaの【笑う門には福来る】






わさびをつけていただく。

Mariaの【笑う門には福来る】



もー、間違いない!

マズイはずがない!!!

分厚いのに、全然硬くない。







そしてそして、でました!

スーパーホルモン!

Mariaの【笑う門には福来る】




こちら、1m20cm。

長さは、こちらで指定できる。

やけたらカット!

Mariaの【笑う門には福来る】






このホルモン美味しすぎる!!!

舌の上で脂がジュワーっと広がり、しかも甘い!

良いお肉って甘いんだなぁーっと再確認。




正直、さらにさらに料理は出たのだが、話しに夢中で

不覚にも、写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。





あー、それにしても、やっぱりいいね、お肉っていいね。




Hさん、Tさんの2人を前に、「美味しい!」を大連発。




途中から、オーナーの中村さんも乱入して、大騒ぎ!

この中村さん、テレビにも何度も出た事のある有名人らしい。

かなりのハイテンションで、お肉のことやら仕事のことやら

話しづらいだろうお金の話しまで、わんさか話してくれる。

もう、本当に面白くって、ぎゃはぎゃはと笑ってしまった。

中村さんと仲良しのHさんと来てよかった~とつくづく思う。




HさんとTさんとは、仕事の話やフィリピンの話しで大盛り上がり!

去年は、フィリピンは、マニラとセブ、マクタン島を訪れたのだが、

同じフィリピンであっても、治安やら電気供給状況やらが全く違う。

さらに地域ごとに、人間性も違うらしい。

フィリピンは大小7107の島々からなる群島国家。

都市は全国で115にものぼる。

関東人と東北人、関西人と沖縄の方の性質が違うように、

フィリピンも島々によって人間の性質が違うというのだ。




「ネグロス島の人たちはおとなしくて優しいから、日本人と

 相性がいいよ。マニラはちょっと怖いね。」




さすが、現地で生活されている方の意見は違う。

とはいえ、ネグロス島やボホール島が、いったいどこに

位置しているのかわからない。

ただ、たしかに、マニラは物々しかった。

目つきの怖い方々とそうでない方々の差が

激しかったのを覚えている。



スーパーに入るだけでも麻薬犬に全身嗅がれ、持ち物検査をされる。

そういえば、詐欺にも遭いそうになった。

タクシーのメーターはつけず、破格の値段を請求されもした。

それに比べたら、セブ島やマクタン島は、くらべものにならないくらい

治安が良い。

基本、みんな優しい。




美味しい食事に舌鼓しながら、今、フィリピンではこれが

流行っているとか、これはあっちでは何ペソだという話しで、

3時間ほど盛り上がった。





帰りしな、「セブに来て!」というTさんに、「近いうち伺います!」と告げ、

お二人と別れた。

美味しいお肉と、美味しいお酒。

懐かしい面々に、楽しい話題。

今日も良い1日だった!と軽くスキップなんぞをしてみる。

あー、本当に幸せだっ!






ちょっと時間が気になり、ニコニしながら、時計に視線を落とす。





《 22時23分 》





酔い覚ましもかねて電車で帰ろうかと、四谷三丁目の駅へ向かう。

駅の階段を降りながら、バックの中をガサゴソと探す。






“あれ?”





Suicaがない。

そんなまさかと、チケット販売機の前にバックを置き、

下のほうからかき回す。






“・・・ない”





今日はタクシーで来たから、この中に入っているはずなのに。

家に忘れたか?

いや、でも家を出る前に、カードケースを確かに入れた。









・・・。









・・・。









・・・。









あっ!!!!!


あーーーーーーーーーっ!!!!!









タクシーの代金をSuicaで払ったんだった!

うわっ!

タクシーに忘れたかも!!!

えっ・・・

ちょっ、ちょっと、まって、

先週、チャージしたばっかりだったのに!!

ちょっ、ちょっ、ちょっと、

えっ・・・!

ま、ま、ま、ま、まじで?!







レシートを見ながら急いでタクシー会社に電話をする。

折り返しますと言われ、電話を切る。







駅の入口で電話を待つ。





待つ。





待つ。







  ・

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  ・
  








「トゥルルルルー」









着信音が鳴った瞬間、バッ!と携帯を開き、受信ボタンを押す。






「はいっはいっはいっはいっ」






焦りからか、山のような「はい」を言ってしまう。







「あっ、mariaさんですか?すいませんねー

 探したんですけど、どこにも無いんですよー」











え・・・。











と言われても、諦めがつかない。


maria: 「本当にどこにもないですかね?足元に落ちてるとか?」

運転手さん:「くまなく探したんですけどね、ないです。」

maria: 「赤い、レザーのカードケースなんですけど・・・」

運転手さん:「ないです」







「・・・。」







しばらく放心状態でその場に立ちつくす。

現金でチケットを購入し、とぼとぼと家路に向かったのは

10分もあとのことだった・・・













【補足】
すいません、本当はもっと楽しく書こうと思ったのですが、
チャージ額が多く、あまりにショックだったので、
こんな文面になってしまいました(涙)