「パスタが食べたいっ」




テレビに映る美味しそうなパスタの映像に

すっかり心をうばわれる。



今日のランチはもちろんパスタだ!と決めるものの、

昼から、あまり手の込んだものは作りたくない。






きゅるるるるー。






おなかがなる。






“え、えーっと、簡単に、和えるだけのパスタソース、

 あったっけ?”






キッチンへ行き、保存食棚をあさるものの、

めぼしいものが見つからない。





“乾燥スパゲティーは1人分あるからー、

 あとは、パスタソースのみ、か・・・。”





棚の中にトマトの水煮缶が見える。

ツナ缶もある。

にんにくも発見。

冷蔵庫を開けると、厚切りベーコンやらひき肉やら、

玉ねぎやらピーマンやらが顔を出す。


ざざっと作れば、パスタソースくらい作れる

食材はあるのだが、残念ながら、いまの私は、

楽チンコースをえらぶ気満々だ。



少しの迷いもなく、お財布と鍵をにぎり、

近所のスーパーへ向かった。










パスタソース棚を見回すと、見慣れない箱をみつける。

Mariaの【笑う門には福来る】



どうも、はごろもフーズさんが、新たにパスタソースを

出したらしい。

新し物好きの心がくすぐられる。

し・か・も、茹でたパスタと炒めるだけの簡単レシピ。





きゅるるるるー。





おなかがなる。





それらをカゴに押し込み、小走りにレジへ向かった。
















大きめの鍋でお湯を沸かす。

パスタソースの[作り方]に、

《少し硬めにゆでて炒めると美味しく仕上がります》

とある。

なるほどね、とタイマーを5分に設定。

沸騰したお湯の中に、乾燥スパゲティーをばらりと投入。

タイマーをスタート!



茹であがる間に、パスタソースを吟味。



“さんまのペペロンチーノも美味しそうっ。

 まぐろのガーリック醤油も捨てがたい!

 あー、でもやっぱり、さけのガーリックバターかなー!

 うー、迷う!

 うー・・・。
 
 ・・・。

 あっ!

 いっそのこと、ぜんぶ混ぜちゃう?

 ねぇ、混ぜちゃう?

 いやいやいやいやー。

 それだけはダメだー。

 きっとこのお魚さんたちも、それは望んでいないっ。

 そもそももったいないっ。

 でもー、、、

 混ぜちゃう???”
 
 






「ピーッピーッピーッピーッ!」








タイマーがけたたましい音で鳴りひびく。

ちょっとビクッとする。





“おっといけね。”





鍋づかみを手にはめ、シンクに用意しておいたざるを置き、

そこめがけてゆでたスパゲティーを流し込む。





“よし、水きりだ。”





手際よく、ザッザッザッと、ざるを振り、パスタを水を切る。

ざるをパッ!と上げると、スパゲティーたちがぴょん♪と跳ね上がる。

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪




ちょっと楽しくなって、パスタを高めに投げてみる。

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪





もうちょっと投げてみる。

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪

パッ!ぴょん♪

パッ、












バサッ。














「・・・。」













Mariaの【笑う門には福来る】



きゅるる・・・