ペコちゃんはいつも瞳を洗っていた。


私『何してるの?』

ペ『世間の汚れを落としているの』

私『❓️❓️水で世間の汚れって落ちるの❓️』

ペ『ふふっ』とペコちゃんみたいな顔でニッカリ笑顔。



ある日、サスペンスを観ていた彼女が両手で目を隠していた…


私『どうしたの?』

ペ『今ね、意地悪な女の人が出てるの』

私『女優さんの演技でしょ?』

ペ『そうだけど意地悪してるから』

私『…………』


・良くないものを見ると瞳が曇る

・噂や悪口を言うと口が曲がる

・意地悪な心を持つとブスになる

とよく言っていた。



私の友人から人気があった彼女。


びっくりマーク 私の学校の美術の先生がペコちゃんを好きになってしまい、娘の私に『どうしたらいいんだろう』と謎の相談を受けた事があった‼️『ペコちゃんには英雄(父)が居るから順番待ちだよ』と言ったら、先生は翌日に熱出して『僕ね、長生きして順番待つよ』って。そういう問題じゃないけど美術の先生だから『それは芸術的な作品が出来そうですね』って言ったら『うん!』って(笑)。


ペコちゃんのあだ名は"妖精さん"。


『フェアリー??』と笑っていた私だけど、娘から見ても不思議な人。アニメのキャラクターを見ているようだった。


おかしな得技があったそうで、彼女の親友の話によると、片足で着替えが出来るとの事。スパに行って着替える時、何でも片足に通して、もう片方の輪っかをクルンッと反対の片足に通し、手をつかわずに着替えが出来たと。何度聞いても意味がわからない(笑)。コミカルすぎる…妖精じゃなくて魔女?


そんなペコちゃんがよく言っていた事が

『お友達は顔で選んでね』

『顔って言っても人相のことね』。


『どうやって見分けてる?』と聞いたら

『嗅覚』と言っていた。

『 ❓️視覚じゃなくて❓️❓️』

そこだけは『嗅覚よ』と言い張っていた。

『でも疑心暗鬼だけは絶対ダメよ!』

『疑心暗鬼は相手をものすごく傷つけるの』と。


わかるけど …

チグハグな返答をする人だった。


そして、さみしがり屋。


ある日、父が趣味で弾いていたギターの弦と

ネクタイがバッサリ切れていた…


私『こんな事したらダメでしょ!』

ペ『さみしかったから』と泣いていた。

私『言えばいいじゃない。弦とネクタイが可哀想』

ペ『あなたはお父さんに似て冷たいのね』


と拗ねる。手の掛かる人でもあった。

(それにしても過激な手段…)


父は冷静。フェアリーペコちゃんが拗ねると『その顔を鏡で見てみなさい』と手鏡を渡す。彼女は鏡をチラッと見てプイッ……


子供なのか、お嬢様なのか…。

私は彼女を"女帝"と呼んでいた。


先日、友人と女帝ペコちゃんの話になり、

友『似てるよね!』

私『やだ、似てない!』

友『え?自分をコミカルだと思わない?』

私『思わない』

友『そういうとこだよ。変な特技もあるし』

私『どんな特技?』

友『気づいてないなら知らなくていいよ』


私『えーーー』


最後まで教えてもらえなかった。

何なの?みんな…


いつか、こうして私も

誰かの話のネタになるのだろうか…


そう言えば、ペコちゃんのお別れの日、

会いに来る人みんなが


『楽しかったよ!有難う!』


と言っていた。


周囲が教えてくれたお話はコミカルな話ばかりだった。私…その娘だ………