自殺未遂のために左目を失明したBill Pullman。でも右目の視力は極めて良好なようで、それだけでも不幸中の幸いでした。


 ところで、7歳半で日本人に攫われるまでずっと父親のBillのそばで育った私の母は、彼がとても目が良くてメガネなどかけてなかったことを覚えています。


少年時代のBill


 確かに、両目ともかなり視力良好に見えますね。母はBillに何度も絵本を読んでもらっているし、いつも一緒だったので、彼がメガネなしで読み書きできたことをよく覚えているようです。


 絵本に関しても、母は楽しい思い出を持っています。


「小さい時、父はいつも私を膝に乗せて、可愛い絵本をたくさん読んでくれた。リスちゃんが出てくる絵本があった気がするし、クマが主役のものもあった。私は父に抱っこされて読んでもらえるのが嬉しくて、絵に夢中になりながら、何度も振り返っては父の頬を撫でたりキスしたりした。そんな時、父はいつもにっこりして優しく抱きしめてくれた。」


 聞いただけで、Billがどんなに優しい父親だったか伝わってきますね。でも、驚きなのは、次に母が話してくれた部分。


「父は想像力が豊かで、1冊の絵本で何度も楽しませてくれた。"この絵本はクマさんが主役だけど、もし途中に出てくる小鳥さんが主役だったら、どんな話になると思う?"、"いったん書いてある文章をすべて忘れて、描かれた絵から物語を紡いでみよう"、"この話を180°真反対から考えたら、どうなる?"。父はそうやって次々と1冊の絵本から新しいストーリーを導き出す。だから1冊で飽きずに何度でも楽しめた。」


 すでに後の俳優の資質をのぞかせるようなエピソード! そういえば、Lewisも同じようなこと言っていましたね。「父は脚本を徹底的に読み込み、演技のアプローチを何通りか浮かび上がらせる。次にその中から使えないと判断したものを落とす。それから残ったアプローチを吟味して、180°ひっくり返したパターンも考える。そうやって練り合わせながら役の方向性を決めてるんだ」。


 この徹底した読み込みが、すでに10代の時に子供との絵本で発揮されていたとは興味深いですね!


 ちなみに、母の思い出にはちょっと笑えるオチもあって、


「ある時は、父が"もし、このクマさんが悪党だったらどうなる?"と聞いた。私はムキになって答えた、"そしたら、さっきあげたハチミツとサーモンはあげない! ハチミツとサーモンは別の子にあげるもん"。」


 私の母らしい反応! 父親のBillも大笑いしたそうです。



 ところで、他の記事を読んでない方のために説明しておくと、私の母はBill Pullmanが14歳の時(異例の若さ!)に生まれた彼の最初の子供です。