即位パレード延期は天皇の意向、官邸は台風被害無視で強行するつもりだった! なのに延期した途端「安倍首相の判断」とPR
LITERA 2019.10.19
 
宮内庁ホームページより
 
 天皇の即位パレード「祝賀御列の儀」が台風19号の被害に配慮して延期になった。当然だろう。被災地では日を追うにつれて被害が拡大、土砂災害や浸水被害からの復旧は進まず、いまも4000人近くが避難所生活を強いられているのだ。どう考えてものんきに祝賀パレードを開催するような状況ではない。

 ところが、この延期は新天皇の強い希望によるもので、安倍政権、首相官邸はギリギリまでパレードを予定通り強行しようとしていたというのだ。宮内庁担当記者が語る。

「天皇陛下は台風19号の被害が明らかになった直後から、パレードの延期を主張されていたようで、15日の段階で宮内庁から官邸の皇室担当である杉田和博官房副長官に、陛下の意向が伝えられた。ところが、首相官邸は準備が進んでいることを理由にこの要望を一蹴、逆に陛下を説得するよう宮内庁に命じたんです」
 
杉田 和博(すぎた かずひろ)
1941年4月22日(78歳)
埼玉県
東京大学法学
前職:
神奈川県警察本部長
内閣情報調査室長
内閣情報官
内閣危機管理監
現職:内閣官房副長官
在任期間:2012年12月26日 - 現職
高い調整能力で知られる一方、「危機管理には通じているが、社会福祉や経済といった国民生活全体を見渡す視野の広さに欠けている」との評価もある。

 

 実際、菅官房長官は15日の記者会見で、パレードの準備を「淡々と進めていきたい」と延期するつもりがないことを明言。翌16日の会見でも、開催の是非を問われて「昨日、私が申し上げた通り」と答えた。

 また、一部の新聞では、15日には、政府高官が「陛下のお気持ちもあるが、国民の期待がある」と語ったことも報じられている。この政府高官というのは、杉田官房副長官のことで、首相官邸も非公式に天皇が延期を希望していたことを認めていたのだ。

 一方、宮内庁は西村泰彦次長が会見で、「天皇皇后両陛下には、台風19号による大雨災害で多数の方々が犠牲となり、また、依然として多くの方の安否が不明であること、数多くの方々が被災されていることに大変心を痛めておられます」と天皇の心情を説明したが、これは天皇の心情を国民に説明して、パレードに応じてもらおう、という作戦だったといわれている。

 しかし、それでも、天皇の抵抗は強く、頑として首を縦に振らなかった。そして、報告を受けた首相官邸もようやく説得を諦め、17日なって、延期を判断したというのが、事の真相なのだ。

 つまり、天皇自身が被災者を配慮してパレードを延期しようとしているのに、国民の側に立たなければならないはずの安倍首相や菅官房長官は、被災地のことなんて全く無視してパレードを強行しようとしていたのである。

 本サイトは安倍首相が以前から災害被害者に対して冷酷な対応を繰り返していたことを指摘し、今回の台風19号でも被害拡大の最中に私邸に帰り、ラグビーに大はしゃぎしていたことなどを伝えたが、この姿勢こそ、被災者ないがしろの典型と言っていいだろう

 しかも、姑息なのは、17日、この延期決定を公表した際の安倍首相のやり口だった。まず、安倍首相が被災地訪問した際、同行記者団に「今回の被災状況を踏まえて延期する方向で検討している」と発言、これを受けて、菅官房長官が会見で「首相から延期の方向で検討するよう指示があった。宮内庁と相談し、あくまで内閣として判断した」と説明し、まるで安倍首相の「英断」のようなストーリに仕立ててしまったのだ。

 苦しむ国民を平気でないがしろにし、天皇の意向まで自分の手柄にしてしまう独裁者ぶり。日本国民はこんな“逆賊”をいつまで総理大臣の椅子に座らせておくのだろうか。
(編集部)
 
=== LITERA 記事(ここまで)===
 
『まるで安倍首相の「英断」のようなストーリに仕立てて』はあの事件とそっくりであることに気付いた人が多数いたと思います。
 
これです。成果の横取り。この本をお読みになることを強くオススメ致します。
 
 
週刊朝日の記事を紹介します。
 
拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々 蓮池透著
 
■拉致問題は、これでもかというほど政治的に利用されてきた。

『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』。激烈なタイトルである。著者はかつて「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」の事務局長を務めていた蓮池透さん。2002年に帰国した拉致被害者・蓮池薫さんの兄である。
〈いままで拉致問題は、これでもかというほど政治的に利用されてきた。その典型例は、実は安倍首相によるものなのである〉と怒りを込めて蓮池さんは書く。彼らは〈北朝鮮を悪として偏狭なナショナリズムを盛り上げた。そして右翼的な思考を持つ人々から支持を得てきた〉。〈しかし、そうした「愛国者」は、果たして本当に拉致問題が解決したほうがいいと考えているのだろうか?〉
 02年10月、5人の拉致被害者が「一時帰国」した際、当時の官房副長官だった安倍首相や内閣官房参与だった中山恭子参院議員に彼らを奪還する意思はなく、日程を消化するだけだった。そんな裏話に加え、批判の矛先は多方面に及ぶ。複数の外交ルートを嫌って事態を悪化させた外務省。「家族会」を事実上乗っ取った「救う会」。思考停止に陥ってステレオタイプの北朝鮮批判報道を垂れ流し続けたマスコミ。圧力団体としての力を持つと同時にアンタッチャブルな「聖域」と化した家族会。
 本書の価値はしかし、関係者への批判に終わらず、右翼的な政治家に利用された自身の言動への反省と、拉致問題解決への具体的な道が示されている点だろう。小泉訪朝の頃、テレビに登場し「拉致問題の解決には経済制裁しかない」などの主張を繰り返す「蓮池兄」に私はあまりいい印象を持っていなかった。しかし、いま彼は書く。〈経済制裁に有効性がまったくないことは、無為に経過した時間が証明している〉
 1月12日の衆院予算委員会で、本書の内容について質問された首相は「私の言っていることが違っていたら、私は辞めますよ。国会議員を辞めますよ」と声を荒らげた。ならば辞めろよ。そう思わせるに十分な覚悟の一冊。オススメである。
 
※週刊朝日 2016年2月19日号