目玉は進次郎というお寒い組閣 こんな内閣が持つのか<中>
日刊ゲンダイDIGITAL 2019/09/12

■いい度胸だ。加計疑惑の萩生田、下村起用の国民愚弄
 
下村博文選対委員長と萩生田光一文科相(C)日刊ゲンダイ

「行政が歪められた」と批判を招いた「加計学園」問題では、安倍の“腹心の友”が運営する学園の獣医学部が新設された経緯がいまだに闇の中だ。よりによって、そんな“重大事件”の渦中にいる萩生田を文科相に、下村を選対委員長に起用するとは、一体どんな神経をしているのか。
 
 萩生田は安倍とともに学園の加計孝太郎理事長と仲よくバーベキューに興じる写真を自身のブログにアップ。学園の系列校で客員教授を務めていたことまで発覚した。文科省が公表した記録文書によると、そんな萩生田は官房副長官時代、獣医学部新設について「官邸は絶対にやると言っている」「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」と、同省幹部に迫っていたというのだからタチが悪い。
 
安倍とともに学園の加計孝太郎理事長と仲よくバーベキューに興じる萩生田光一
 
萩生田 光一(はぎうだ こういち)
1963年8月31日(56歳)
東京都八王子市
明治大学商学部
前職:八王子市議会議員秘書、八王子市議会議員、東京都議会議員
現職:文部科学大臣、教育再生担当大臣
衆議院議員(5期)
自由民主党(細田派)
 
 下村については、学園から受けたパーティー券代200万円を政治資金収支報告書に記載しなかった問題がくすぶる。下村は「加計学園の秘書室長が11の個人、企業からパー券代を募り持参したもの」「記載義務はない」と言い張っているが、いまだに「11の個人、団体」がどこの誰なのか説明はないままだ。文科省内からは「なぜわざわざ大臣にするのか」といった声が上がっているというが、要するに問題意識ゼロで甘く見ているということ。安倍自身も「加計の話はもう終わった」と周囲に話しているというからフザケている。
 
下村 博文(しもむら はくぶん)
群馬県高崎市
1954年5月23日(65歳)
早稲田大学教育学部社会科社会科学専修
前職:学習塾経営者
衆議院議員(8期)
所属政党:
(新自由クラブ→)
(無所属→)
自由民主党(細田派)
 
「お隣の韓国では、疑惑を持たれた大統領側近が、11時間もかけてメディアに釈明していました。ところが、萩生田氏も下村氏もそういった対応は取ってこなかった。安倍首相は『国民はもう忘れている』とタカをくくっているから、そんな人物を要職に就けることができるのでしょう。国民をなめきっている証拠です」(五野井郁夫氏=前出)
 
 国民はこんな人事を許してはいけない。

■野党は手ぐすね、この組閣で日本版“タマネギ男”続出だろう
 

左から時計回りで橋本聖子五輪相、西村康稔経済再生相、河井克行法相、菅原一秀経産相(C)共同通信社
 
「本当に身体検査をしたのか」――。新大臣の顔触れには、自民党内からも懸念の声が上がっている。カネ、オンナ、暴力……とスキャンダルが取り沙汰される議員がゴロゴロいるからだ。さっそく、野党は「突っ込みどころ満載の内閣だ」(小池晃・共産党書記局長)と手ぐすね引いている。初入閣したのは13人。これまで名前が挙がりながら入閣が見送られたのは、なんらかの“問題”があったケースも多い。ところが今回、そうしたいわくつき議員が、次々に新大臣となっているのだ。過去、週刊誌にスキャンダルを報じられた議員だけでもざっと4人いる。
 
 西村康稔経済再生相<安倍側近、西村副大臣「ベトナム買春」スッパ抜き>
 河井克行法相<安倍首相補佐官の暴力とパワハラ―秘書への傷害事件で刑事告訴も>

 田中和徳復興相<財務副大臣の「融資口利き」仰天疑惑で騒然>
 菅原一秀経産相<愛人への暴言「子供を産んだら女じゃない」>
 
 河井の暴力事件は当時、被害者の秘書が本紙の取材に対しても、「私が河井に毎日のように殴る蹴るの暴行を受けたのは、紛れもない事実です」と証言している。さらに「いずれ写真が出るのではないか」と、暴力団との“黒い交際”がウワサされる新大臣が2人もいる。五輪相として初入閣した橋本聖子も、スケート選手・高橋大輔への「無理チュー事件」が、パワハラだと問題にされた。
 
 これらのスキャンダルを、10月に開会される臨時国会で野党が追及するのは間違いない。

「たとえ、入閣候補者の“身体検査”をしても、疑惑は簡単には見つからない。本人も隠しますからね。片山さつき大臣も、入閣後、次々にスキャンダルが発覚した。なのに、今度の改造内閣は、初めから疑惑が取り沙汰される大臣が何人もいる。国会が大荒れになっておかしくありませんよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
 
 日本版“タマネギ男”が続出するのではないか。
 
■安倍軍門に下った進次郎を待ち受ける原発汚染水と女性醜聞
 
実績ゼロ(C)共同通信社
 
 これまで安倍と距離を置き、過去2回、総裁選では石破茂を支持していたのに、一転、“安倍1強”の軍門に下り、環境相に就いた小泉進次郎。大手メディアは、「『安定と挑戦』の挑戦を象徴する人事だ」などとはやし立てているが、初めて大臣になった進次郎は、バケの皮が剥がされる可能性が高い。
 
 なにしろ、パフォーマンスと一方的に話す演説だけは得意だが、野党と論戦を交わすテレビの討論番組に出演したこともなく、ポストを与えられてもひとつも結果を残していない。手がけた“農協改革”も“国会改革”も、まったく成果を上げられなかった。
 
 党の農林部会長に就いた時は、農林族のベテラン議員に「先生、どう思いますか」と意見を言わせ、それをそのまま通すだけだったという。さすがに、森山裕国対委員長は「政策の軸がない」「他人の言うことをうのみにしてばかり」と評しているそうだ。いまから「国会答弁できないのではないか」との声も飛んでいる。

 しかも、環境相は難しいポストだ。
 
「いま環境省は、いくつも難題を抱えています。ひとつは、原発事故の除染作業で生じた汚染土の処分です。最終的にどこでどう処理するのか、候補地さえ決まっていない。厄介なのは原発汚染水の処理です。直接の担当は経産省ですが、もし海に流すことになったら、環境を守る環境相は、断固反対しないとおかしい。これまで口先だけだった進次郎さんに、それができるのか。沖縄の辺野古基地の新設も関わってきます。環境破壊の最たるものですからね。このまま建設を強行したら、貴重なサンゴが絶滅してしまう。果たして進次郎さんに国民が納得する成果を上げられるのか疑問です」(ジャーナリスト・横田一氏)
 
 結婚を契機に女子アナとの過去の交際など女性スキャンダルも次々に噴出している。

 政界では「環境相就任は、安倍首相の嫌がらせではないか」との臆測さえ流れている。
 
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