今日は水曜日なので、お家では女性は家事を(強制的に)お休みとなり、お父さんが中心となって、男性が家事をやります。
私が子供の頃、お父さんが決めました。

朝起きてすぐに家事争奪戦となり、「家事をしたいママと私 vs ファル軍」という状態になり、朝からパリピなママの言い分としては「朝は女性が家事をやった方がいいんじゃないかしら!?」なんですが、お父さんは「オリヴィアもリリも働きすぎ!ちょっとは僕を頼って!」ということなので、長く続いているこの不毛な戦いに置いてけぼりにされているノエルは事態を把握し、「モルとお姉ちゃんは座ってていいよ!」とフライパン使いたさに言いますが、料理をしたことがない10歳の少年には朝から任せられず、気弱なゼノは「たまには俺が…」と言い、料理が壊滅的にできないジャックは「盛り付けくらいならできると"思う"よ?」と危険なことを言い、体が弱すぎるおじのルイは「ポペットは休ませたい。あ、オリヴィアは休まなくていい。…うるさいから」と朝からママの見方をしたので、朝ごはんだけは問答無用でママと私がやりました。

今朝は珍しくゼノがママにお願いがあると言ったので、朝からハイテンションなママが「ゼノが私にお願いなんて珍しいわね!何かしら!?」と聞いたら、「その…俺もトーストを1枚食べられるようになりたくて…スープとサラダを抜いて欲しい…」と元も子もないことを言ったので、瞬時に却下され、結局トーストを半分とサラダ、スープになりました。
ゼノはひどい時はトーストも1/4しか食べられないガリガリ宇宙人なので、半分食べられるだけでもいいと思います。
しかしながら今日は途中から喉が通らなくなってしまったので、フランスの田舎みたいにパンをスープに付けて食べれば?と提案したら、なんとか食べられたようです。

ママとルイは今日も仕事でノエルは学校なので、定刻の7時30分に嵐のように去っていき、問題はここから。
どうやってお父さんから家事を奪還するかをキッチンで計画していたら、お父さんが「さあ、リリはソファで休んで!後は僕たちがやるからね!」と言って、巨人な元軍人とはいえ62歳の高齢者という立場で私をお姫様抱っこでソファに運搬し、颯爽とキッチンに消えてしまったので、本を読みながら対策を寝ることに。
久しぶりにゲーテの「Die Leiden des jungen Werther」(邦題:若きウェルテルの悩み)のフランス語版を読んだんですが、なんというか…昼間から読むには悲しいというか、ウェルテルが執着し過ぎたのか、それともシャルロッテとの相性が悪かったのか、恋愛は難しいというか、なんだか考えさせられて苦しくなる気がしたので、本を変えてPoe(ポー)の「The Fall of the House of Usher」(邦題:アッシャー家の没落?)の英語版を読んでみたら、今度はロデリックの行動が怖すぎて、どうして私はホラーとおばけが大の苦手なのにこんなに怖い小説を読んでしまったんだろうと、激しく後悔。
でもポーのサインって素敵!とか思ってみたり。

日本のホラー映画なんて怖すぎて見れないですし、スウェーデンが舞台になっていると聞いていそいそ見てみた「Midsommar」(邦題:ミッドサマー)ですら怖かったので、ホラー系は全く向いていません。
余談ですが、スウェーデン観光情報サイトが「がんばって忘れて」とTweetした通り、実際にスウェーデンで開かれる夏至祭は明るく楽しいイベントです。
ゼノはTim Burton監督の「Frankenweenie」(フランケン・ウィニー)はものすごく怖がっていたのに、人間が演じる恐怖映像は怖くないようで、よく怖くないね!と言ったとき、「生まれた時に死にかけていたからじゃないか?」と、ものすごく冷静に言われました。
でも私が見たいと言わない限り、自発的には見ません。
仕方がないので、ゼノの様子を見ながら、パソコンを使ってお絵描きをすることに。

耳を澄ませて聞いていたら、ゼノがお父さんにすっかり懐いていて、「ヴィル、このお皿はこっちでいいのか?」「そうだよ!届くかい?」とか、「ヴィル、お風呂はこの洗剤で洗えばいいのか…?」「ああ、それを使って!ブラシはどこにあるかわかるかい?」とか、「ヴィル、(オカマの)エラのトイレってこれを敷けばいいのか?」「そうそう!ゴミはこの袋に入れておくれ」という会話をしていて、これはもう息子。
お父さんにゼノと同じくらいの息子がいてもおかしくないですし、話も合うし素直な子なので、かわいがられています。

家事がひと段落して、お父さんがお買い物に行くというので、一緒に行くことに。
言ってしまうと、お父さんは20年前に事情があって突然失踪した関係で愛車を処分していて、新しく車を購入したんですが、まだ納車されていないので、私が車を出さないといけない状態です。
元軍人ということもあって、事情があって失踪というと、何か悪いことをして国外逃亡していたんじゃないかと思われるんですが、早い話がサイコパスにもほどがある女性の不気味すぎるストーカーで、相手が発狂して亡くなったと警察から連絡があったので、ママがノルウェーまで伝えに行ったという経緯があります。

行き先はストックホルム中央駅にあるCOOPなので、歩いて行けるんですが、今日はお米を買うので、車に乗って出発したのは良かったんですが、お父さんが後ろに乗ると車内が狭い…!
隣に178cmのコンパクトなゼノがいるせいか、193cmのお父さんと185cmのジャックが後ろに乗ると、妙な圧迫感!
40代のジャックよりも背が高いって何事だろうと、世の不条理を感じながら到着。
金曜日にケンが到着するので、食べたいものを聞いてみたところ、「TKG食いたい!」と返って来たんです。
外国の料理かと思って調べてみたら、「Tamago Kake Gohan」の略のようで、念のため卵を生で食べたいってこと?と確認してみたら、間違いなかったので、まずはお米。
そしてこれを日本で言ったら驚かれたんですが、スウェーデンの卵はサルモネラフリー、抗生物質不使用のオーガニックなので(そして檻にも入れてない)、生で食べてOK。
賞味期限は最低でも2週間あるので、今日まとめて買いました。
それとソイミート、キャベツ、レシピサイトで見た日本のパスタを作れるようにカッレス(日本のたらこみたいらしい)、パンに乗せるランプフィッシュ、お米に魚と一緒に乗せれば日本のどんぶりになりそうなキングサーモン(いくら)のキャビアを購入。
キャビアって魚卵のことで、高級食材ではなく、どこにでもあります。
お家にどんぶりのお皿はないんですが、スープ皿を使えばいっか!という考えです。
適当でごめん…。

そそくさと帰り、今度はお父さんと一緒にスーパーのオンラインで日本の醤油とお好み焼きの粉をポチッと注文。
お好み焼きは何度か作ったことがあるんですが、作り方が合っているかわからないものの、ケンは料理ができなくても味はちゃんとわかる子なので、たぶん変だったら言ってくれるはず!と、思っています。
お父さんは日本語は「ありがとう」と「ごめんなさい」以外は「いただきます」と「ごちそうさま」は言えるようになりました。
ちょっと発音が変ですが…。

一息つこうとフィーカにしたら、おじで退役軍人のシドが来ました。
何をしに来たかと言うと、孫を連れてヴァーサ公園に行ったので、近くに来たということもあり、姪の顔見たさに来ただけ。
シドは普段、あまり高度な英語は話せないと言って、私やお父さん、ママやルイと話す時はスウェーデン語なんですが、今はゼノとジャックがいるので、英語で話していたんです。
みんなで話していたら、オカマのエラがお散歩から帰って来て、「お嬢さん、帰りましたよ!お腹が空きましたね!」とごはんをおねだりしてきたので、シドにごはんをあげて欲しいと言ったら、あろうことかこの退役軍人(65)は「Yes,Sir!」と言ったので、思わず爆笑。
(Sirは男性につけます。)

これにはお父さんが呆れてしまい、かつての上官に「いやシド、リリは女の子だよ…」と一言。
「通じれば何でも一緒だろ?俺はお前さんと違って賢くねぇし…」と、諦めろと言わんばかりの顔をしたので、お父さんがブーツの紐を結び直しながら、「リリはLadyか…100歩ゆずってMissだねぇ…」と、これ以上は言うまいという顔をしたので、

「Flygvapnet, Kapten Sid!」(スウェーデン空軍シド大尉)

と、ふざけて昔の階級で呼んであげたら、「おいショーティー、訂正しろ!俺はÖverste löjtant(中佐)だ!」と言われたので、お父さんが「若い頃の階級で呼んでもらえただけ幸せだよ!リリなんて男にされちゃったんだから!こんなにかわいいのに!」と抗議。
そんな中、私がスウェーデン語で言ったので、わからなかったゼノが「今なんて言ったんだ…?」と言うので、Swedish Air Force, Wing Commander Sidと、対外的に呼ばれている英語で言ったら、「シドってすごい…」と、イギリスでゼノがいる階級は家系に軍人がいることが重要なので、ため息をついていました。
お父さんが「シドは優秀な上官だったんだけど、荒っぽいところがあるからね!どれだけ僕が苦労したことか知れないよ!」と笑って言ったら、シドが「Oi Flygvapnet, Menig 1Kl William!(おい、スウェーデン空軍一等兵ヴィリアム)、お前さん何か言ったか?」と、シドが立場をわからせるために敢えて使う口調で凄んだので、お父さんも肩をすぼめて苦笑い。
これにもゼノが「…?」としていたので、お父さんはSwedish Air Force, Senior Aircraftman(英語だとスウェーデン空軍上級航空兵になる)だったと教えたら、「ヴィルも階級があったなんて知らなかった…」と仔犬のような顔でしょんぼり。
ゼノも家系に少佐がいるので(しかもRoyal Air Force/英国空軍)、大して変わらないでしょ?と言ったら、「だいぶ違う…」と言い、「ヴィルは優しいから、軍人だったことを忘れていた…」と、持ち前の育ちの良さから、失礼なことをしたんじゃないかと思った様子。

聞いていたジャックが、「俺の家系には階級がある軍人すらいないからね?手当たり次第探せばちょっとした階級くらいならいるかもしれないけどさ?ゼノはいるだけましだよ?」と言ったので、「ちゃんとマリアに釣り合う男にならないと…ダディに軍人になってって言えば良かった…」と、また無理なことを言い、ジャックが苦笑い。
絶対に自分が軍人になろうとはしない子なので、私は気が楽です。
お父さんは5年しか勤めていないのに階級についたので、シドは「ヴィルは賢かったんだがなぁ。考えられねぇミスしやがるから、どれだけ俺が証拠隠滅してやったと思ってんだか」と、お父さんの忘れ物をする悪癖に呆れていました。
詳しいことは言えないものの、とんでもないものを忘れて戦闘機に乗ったそうです。
お父さんは軍でシドの部下になり、シドに飲みに連れて行ってもらったところ、一緒に飲もうと呼ばれていたママと出会い、シドに紹介してもらえるように頼んだそうで、ママが「ヴィルは妻を探すために軍にいたようなものね!」と言っている理由がわかりました。
何度プロポーズしてもYesと言ってもらえなかったので、軍の人たちに協力してもらい、軍服姿の軍人たち12人がかりでママを取り囲み、やっとOKしてもらえたそうです。

そして結婚式に来て欲しいと頼んであったシドが「おいショーティー、お前さん結婚式はいつにするんだ?俺は来年の4月から仕事なんだがなぁ…」と言うので、へっ?何の仕事?ついにG4S(イギリスに本社がある民間軍事会社)にでも就職?と聞いたら、「んなわけあるか。軍に戻って来いって言われたんだよ!」と言うので、ゼノが「遅くても2月の4週目じゃないか…?ビザも16-20週と言われているし、俺のレターが届いたらマリアのパスポートを送るだろ…?」と、ストップしている原因が言ったので、お父さんが「どうせ言えば休めるんだろ、Översteさん!」と言い、löjtantを付け忘れたのかと思ったら、戻ったらÖverste(大佐)になるそうです。
すご…。
戦闘機を操縦している時のGが最高だと言っているので、一族始まって以来の悪ガキだったシドですが、本当に軍人が向いているんだと思います。

結婚式は軍服で来て!と言ってみたんですが、シドが結婚するわけではないので、だめなんだそうです。
残念。