きっとちょっとしたニュアンスの違いが生じていたら、ベタベタしたただの“お涙頂戴感動家族ドラマ”になっていただろう。
まったくそうではなかった。
清々しい力強い女性が繊細に描かれた家族の愛の物語だった。
きっとそれは役者のおかげ。
中野量太監督の演出のおかげ。
宮沢りえの不動の存在感にプラスして、オダギリジョーの頼りないけど憎めない柔男のお父ちゃん、杉咲花の等身大のムスメっぷり。他杉咲花の妹も、探偵も、その娘も、タカアシガニの手話の女性も、桃李くんも、全部が家族愛を描くのに欠かせなかった。
家族の愛について描くのに、こうもベタベタせず嫌味なく訴えるように優しく強く描けるのは本当すごい。実際の家族に近いサバサバ感も非常に共感できる。
単純に余命数ヶ月の肝っ玉母さん、という人間描写で片付けるにはあまりに勿体無い。
1人の女の人間として、肝の座った、この上なく魅力的な女性、幸野双葉の生涯を描いたとも言える力作です。
タイトルデザインも実に双葉らしくなっている。真っ赤で、達筆で、潔い。
素晴らしいっす。