とあるネット遊びで知り合った彼


そこで絡んでるうちに実際も絡むようになった。


ネットじゃないところで実際に付き合うようになったのは


どうしてだろう。


ふと初心はどうだったかを思い出したくなった。



なんとか会みたいなのに行って


そこで初めて実際に会ったんだった。


アドレス交換しようと言われたが断った。


そのなんとか会で一番光ってたし、モテモテ感満載の男と


私は釣合わないと思った。


こんな男と知り合いになると


私は好きになってしまい、軽くあしらわれるのが


想像できた。


だから最初から関わらないようにしたんだった。




その頃の彼のネットには、私が度々登場する。




後日


裏のネットを通じて彼から連絡があった。


そこには携帯アドレスが書いてあった。



これは・・・


アドレス交換しようよってことだと思ったが


迷っていた。


私はすでに彼に一目惚れしているという自覚があった。


そして、軽くあしらわれ、付き合いたいのに付き合えないのが


想像できたからだ。



それから2日後


携帯からメールした。


私の、好きという気持ちが前に出た。



彼の気持ち、どういうつもりで私とメールしてるのか。


友達なのか、付き合いたいのか、そんなこと考えてないのか。



メールのやり取りが続いた。


そのメールで私は予感した。



私のメールや着歴は都度削除していると。


この人、私のことを好きになってる、たぶん。



またなんとか会開催するからおいでとメールがきた。


同じ趣味で集まってる会だったが、実は私はその趣味に興味がなかった。


興味がないのに行ってもみんなに悪いから・・・と断った。


でも、


興味なくてもいいよ、来てくれたら盛り上がるからおいでと。


行くことにした。


この時はラストまで一緒に飲んだ。




その後もメールでやり取りは続いた。


今度は電話番号を言ってきた。


すぐに電話して。



これは・・・


私はすぐに電話した。


それから夜な夜な長電話するようになったのだ。



まるで初めて人を好きになった時のように。


電話を切るときに、どっちが切るか、とか。


話したいことがたくさんあった。


時間があっという間に経っていた。



それから何日か経ったある日


電話で話していた時・・・


そして・・・


急に彼が会いに来たのだった。



その日から始まった。


友達でもない特別な付き合いが。







初めて会った日から


私たちは互いに惹かれていた。



若い時なら、その日のうちに落ちていただろう。


私たちはとても年齢を重ねている。


彼は結婚もしている。









恋に落ちてしまった。




私は今でも最初と同じような気持ちで


彼が好き。


今の付き合い方は


マンネリ、停滞、安心感。



始まった頃は、こんなに長く付き合いが続くとは思っていなかった。





いつまで続いていくのだろう・・・と


今も思う。



彼は正直者なんだろう。


だから妻に嘘をつくのは忍びない。


なるべく嘘を言わなくてもすむようにしたいと常々言っていた。


簡単に嘘をつくと、辻褄が合わなくなって


地雷を踏むことになる。




その彼が朝から晩まで私と一緒にいたことがある。


朝から晩まで、デートしたのである。



デート。



妻にどんな嘘をついてその日を空けたのか。


家に帰って、その日あったことを妻に聞かれた時


どんな顔をして嘘をついたのか。


バレないようにいつものような表情と口調で話したのだろう。


私とのことがバレては困る。






だが、


私にも、バレないように嘘をついているのかもしれないと思うことがある。




だから、


どこかで疑ってみたりする。




この関係は


そういう所で続けているのだ。












けれど、


彼のことを信じている。


言うこと、すること、全部。



嘘を言うと黒目が動く。


長年付き合ってる妻なら


この動きに気付いているだろう。







もうずいぶん前


彼に、あなたのことは信じられないと言ったことがある。


彼は


信じるってどういうこと?と聞いてきた。




私にもどういうことなのかわからなかった。


今もよくわからないし、言葉にできないが



嘘つくこともあるし、面倒なことは見て見ぬ振りをするし


こんなことに気をつけててくれてたってこともあるし


そういう彼を



信じている。



この前、家に来た時


お酒を飲んで、いろんな話をしていたら


酔っ払って眠くなったのか


ベッドに横になった。




おいで。



腕枕の形とお布団を広げ


私を促す。


腕枕に寄り添う。


私を抱きしめる。


厚い胸板に手を当て、抱きしめられる。



何もしゃべらず、ただ包まれている。




とても久しぶりに


時が止まってほしい、と思った。


このまま朝までこの胸板で眠れたら、と思った。



そのうち


他愛も無い話をした。





大昔、夜寝る前に


夫と今日あったこととかをしゃべりながら


いつの間にか眠ったことを思い出した。





彼は眠りに落ちそうになると


帰らなきゃ、と言う。



ここに帰ってくるようになるといい。


夜、一緒に眠れるようになるといい。





眠いな、そろそろ帰る。



そう言って、彼は家に帰って行った。






お互いに独身だった若い頃に出会って


一緒になりたかったと思った。




でも、今の彼を見ていると


それはそれで大変な生活になったと想像する。


現在の世で出会ったから


お互いに惹かれ合ったのだろう。







次に会う約束はしない。


一瞬一瞬が点になって


点が続いて線になっていく。


その線はもうすぐ※年になる。



この人が私の前からいなくなるなら


このままの関係でいい。


でも、本当は






ただいま、と帰ってきてほしい。