昨日→今日は、2回目の当直だった。
前回はかなり暇で、しかも装置の入れ替えもあって何人か出勤していたので余裕だった。
今回は初めて本当の本当に一人、と言う気がした。
でも、前回があまりに平和だったのもあり、ちょっと甘く見ていたところもあったんだけれど・・・。

私の職場は一応17時上がり。
それ以降の患者は当直者が担当する。
病棟で具合が悪くなった人とか、オペが長引いて17時以降にレントゲンのオーダーが出た場合とか、あとは救急外来。
17時以降のすべての検査は当直用のピッチに連絡が来るようになっている。

さてと。今夜も頑張ろう。
大体の仕事はこの5ヶ月で教わったし、当直者として最低出来なければならないことは出来るようになったはずだが、
まだまだ未熟者の私は、何が来ても自分が担当しなければならないと思うとやっぱり緊張する。

17時過ぎに、とりあえず急患が立て続けに来た。
ばたばた走りながらCT撮ってたらオペ室にレントゲン撮ってと呼ばれた。
なぜか今日はかなり忙しい。とにかく走らないと仕事が終わらない。
一人冬の夜に、半袖なのに汗をかく。
ふぅぅぅ。今夜はなかなか大変そうだ。
嫌な予感・・・。眠れるのであろうか・・・?

落ち着くと呼ばれる。一度呼ばれると立て続けに来る。
これの繰り返し。
23時過ぎにようやく落ち着いて、一休みをしていたら転寝をしてしまった。
20分くらい経過したのであろうか。ふと目が覚めた。
あれ・・・寝ちゃった?もうすぐ日付変わるな・・・。
そう思ったとたん、ピッチがなった。
『救外(=救急外来)です。ポータブルで胸・腹、お願いします。』

絶対やばい。間違いなく重症患者だ。
レントゲン室と救外は隣どーし。だから、大体の患者は歩けないとしてもストレッチャーでレントゲン室に来る事ができる。
それなのにわざわざ救外に呼ばれると言うのはよほどの患者が来たのでは?と私は思った。

まだ覚めきらない頭でとりあえず出陣。
ポータブル装置を押して救急室に近づくと、ガシャンガシャンガシャンと音がしていた。
だめだ。。。びびってはならない。
これが私の仕事だ。

一呼吸して気合を入れる。
私 『ポータブルです。入ってもよろしいでしょうか。』
Dr.『いいよー』
私 (意を決してカーテンを開ける)
  やっぱり・・・。

思いっきり心臓マッサージ中だった。

私 『いい時言って下さい。フィルム入れます。』
Dr.『いいよーハイ持ち上げるよー』

先生方が患者さんを持ち上げた瞬間に背中の下にフィルムを置く。
位置を合わせて写真を撮る。
終わったらまた患者さんを持ち上げてもらいフィルムを抜く。
この一瞬がめちゃめちゃ長くて、絶対に失敗できないし、
先生方がいっぱい見てるし、取り終わった瞬間にダーって寄ってきて心マが再開される。
怖くてたまらない。手も言葉も震える(>_<)

うちの病院は救急指定だけれど二次まで。だから、とんでもない患者はあまり来ない。心マしてるのも結構まれ。私がここに来てから一人見たか見てないかかな?
幸いにも、ひとつ前の職場が三次指定だったので、もちろんドキドキしたけれど、それなりに落ち着いて仕事ができたかな。
その患者さんは70を過ぎているおじいさんで、お風呂で倒れていたらしい。
家族の方が、出てこないのを心配して見に行って発見したとか。

ようやく心も落ち着いてきたところで、また救急室に呼ばれた。
走って行ってみると、先ほどの方のCTの依頼だった。
元から糖尿病などはあったらしいけれど、倒れた直接の原因がなかなかわからなくて、当直のドクター勢ぞろいでCT室に来た。
ご家族の方に呼び止められて『あの、ここにいて大丈夫ですか?』と言われた。
きっととっても不安なんだな。ここで私が不安な顔してたらだめだよねって思う。
『今からCTの検査しますのでおかけになってお待ち下さい。』と言うと、すみません、ありがとうございますと深々と頭を下げられた。

もちろん心マしながら検査。とりあえず頭を撮る。
ホント、操作する手も震えるし、ホントにあってるの?これでいいの?ってめちゃめちゃドキドキ。緊張。
頭は大丈夫ってことで、とりあえず全身撮って、っていきなり追加。
え?いきなり言われても・・・!(慣れてないんです!!)
でもこの患者さんは一刻を争ってる。
ご家族も廊下で待っていらっしゃる。
早く検査しなきゃ。

先輩にしごかれた(けれどまだまだ甘い)腕でとにかく必死に仕事。
CTを撮り終えて、横に座っていたドクターに画をチェックしていただく。
でも、特に原因が見当たらなくて。
『んー・・・。特に変なとこないよね。なんだろう・・・。』
『ご家族に説明はついているよね?』

はぁ。そうなんだ。そういう結果なのか・・・。
自分の仕事をこなさなきゃって気持ちと、私的な感情が交錯してしまう。
ドキドキは治まらないけれどとにかく撮った画を写真に焼く。
走って救外に持って行くと、ドクター二人とご家族の方がお話ししていた。
写真を他のドクターに預けてCT室に戻り、片付けたり台を拭いたりしていたら、廊下から泣き声が聞こえた。
私はいたたまれなくなって、外に出て夜の空気を吸った。
目の前には山手線がまだ走っていて、ガーデンプレイスにはほのかな灯りがともっていた。

今夜は眠れそうにないな。

良かったのか良くなかったのか私にもわからないが、その夜は本当に忙しくて、患者さんがほとんど途切れなかった。
明け方も5時以降全く空かなくて、夜中に顔を洗ったまま、みんなが出勤するまでお化粧が出来なかった(+_+)

この一晩で、自分の仕事の重さに改めて気付かされた。
みんな、人それぞれとっても大切な仕事に就いていて、それがどんな種類であれ一生懸命に働いている人は素晴らしいと思う。
私も社会人として、自分の仕事に責任を持って、これからもずっと、今まで以上に頑張っていかなきゃならないなって思った。


ご冥福をお祈りいたします。