戸田奈津子さん | 岡部まり オフィシャルブログ Powered by Ameba

戸田奈津子さん



御存知、翻訳家の戸田奈津子さんです。
 


潮時、という言葉で引退を表明されました。
戸田さんのお顔は知らない方もそのお名前を目にされた方の数は、、想像を越えます。
約50年にわたり、英語圏の映画の字幕を世に送り出してくださり、作品の持つ臨場感を私たちに与え続けてくださった第一人者です。

また、ハリウッドのスター俳優から絶大なる信頼を得て来日の際には通訳も長年努めてこられました。

私は、大昔になりますが、アメリカンアカデミー賞の中継番組の時や、村上龍さんのアシスタントをした際の「リューズ・バー」にコッポラさんやデ・ニーロさんが出演してくださった時にも戸田さんが、通訳として傍らに居てくださったことを鮮明に覚えています。

なぜ、鮮明に覚えているかというと😅😅😅
コッポラやデ・ニーロの存在感も勿論
半端ないのですが、
戸田さんというコミュニケーターが存在しなければ、あれほどに皆が初対面で和みながらお話が弾んだ✨だろうか、と現場で感じたからです。
勿論、みなプロですから話を用意し、進めていくことはそれなりに完成するでしょう。

しかし、
言葉とは、やはり、
生きもので、ナマモノですから
最も大切なのはムードであり、ノリなのです。
龍さんもコッポラもデ・ニーロも自分の言葉か終わると戸田さんの顔に戻り🤭戸田さんが、素早くその時の彼らの言葉と気持ちを表現してくれるのです😆
それは、
かたわらで見ていても実に見事な仕事なのでした!
頭で考えながらモタモタとやる作業ではなく、鍛練された「技」で巧みを極めていらっしゃいました。
できる限りの速さと正確さと親しさでその場を自然な空気で繋いでいかれた戸田さんに私は、何時もうっとりと釘付けになるのでした。

そこには、
彼らの映画の字幕を何時間も熟考した戸田さんの隠された時間があり、
その上に彼らの素顔も承知して番組の通訳もしてくれるのですから 英語力の優れたその日の通訳さん、とはまるで別格なのでしょう、

彼らの、和み方が違うのです😅

そしてそのことは、番組にも
村上龍さんにも大いに影響します。
龍さんは、デ・ニーロたちへのレスペクトで緊張感をもって接しました。
彼らもまた、龍さんの作家性を理解しながら対談は軽妙にすすみました。

字幕の文化史に戸田さんはゴシック体で刻まれることでしょう。
それは、AIには永遠に出来ない華麗なる「人の技」だと思います。

その人しか出来ない仕事です。

戸田さん、
これまでの、たくさんの字幕を有難うございます。