メリル・ストリープ | 岡部まり オフィシャルブログ Powered by Ameba

メリル・ストリープ


メリル・ストリープという女優は、本当に不思議な魅力を漂わせていますね。
かなり前の作品ですが、
映画「愛と哀しみの果て」を久しぶりに見ました。

女優なので勿論美しいのですが
、綺麗な女優というより

「役に溶け込み、
    役を超えて、
    役以上に豊かな女性を造りあ      げて、我々に与えてくれる」

女優だと、個人的には思っています。

あの、
トランプ元大統領の差別発言にNGメッセージを公言したメリル・ストリープに対して
元大統領は、

不当に高評価されてきた女優、
と評して反発しました。

私は、不当に、ではなく、
普通に
迷わず😅高評価してきた者のひとりです。

エンタメの世界なので
およそ好みも含まれる世界ではありますが、
これまでの作品群を見れば、
どの女性もメリル・ストリープが演じると本当にそんな人だと思わせるだけでなく、エンタメの中の女性と思えなくなり、架空の女性ではなく、実在する女性のように想えてくるのです。

特に
この「愛と哀しみの果て」のカレンは、いつまでも心に残る女性なのでした。

20世紀のデンマーク🇩🇰を代表する作家、カレン・ブリクセンの小説「アフリカの日々」を巨匠シドニー・ポラックが監督しました。
メリル・ストリープはこのデンマークのカレンを好演しています。

デンマークの貴族のお嬢様がスウェーデンの男性と結婚するためにアフリカのケニアにやってきます。
ケニアはイギリス領ですでに入植者たちが、新天地で農園の経営やサファリの観光などを仕事にしようとしていました。
カレンは、夫に従いながらも持ち前の力で男顔負けの農園経営を営んでいきます。
この映画で最も心引かれるところは、
異国の地で彼女が学ぶすべてのことです。

時に過酷できびしいのにも拘わらず、そんなことが些細なことのように想えるほど、ケニアの大自然の美しさが見るものを魅了します。

やがて
カレンは、悟ります。
ヨーロッパから持ち込んだ家具や磁器など、つまり、自分の考え方や文化がどれほど価値を持っていたかもしれないが、それは押し付けであり、何も意味を持たないことを悟ります。

むしろ、
カレンのほうが、今まで見たこともないサファリの夕日や動物たちの生き生きとした姿、そしてそこに長く暮らしてきたソマリ族やマサイ族の清らかさや豊かさに啓発されていきます。

そんなカレンの、
逞しく、そして繊細な生き様を壮大なアフリカの風景とともに描いた作品✨は、
1986年のアカデミー賞の監督賞も作品賞など多数受賞しました。

その年、ノミネートされた作品群はいずれもキラ星のような作品ばかりでした。
「蜘蛛女のキッス」
「女と男の名誉」
「刑事ジョン・ブック」
中でも際立っていたのは、
スティーブン・スピルバーグ監督の「カラーパーブル」でしたね。
なぜ、際立っていたかというと
それまでのスピルバーグ作品とはまるで異なる❗️文学的な人間ドラマだったからです。
しかも黒人差別を扱う作品で原作はピュリッツァー賞受賞作です。
それまでの「E・T」や「未知との遭遇」の話題作でも十分に時流に乗っていたスピルバーグ、
でも👀‼️💦💃
私はこんな作品も作れますよ~という位、渾身の傑作✨と私は思ったものです。

特に「SISTER」という主題歌をはじめとする音楽賞は間違いなしと予想したものです。

なぜ、この年のアカデミー賞を鮮明に憶えているかと言いますと😅日本での放送に司会のアシスタントで出演させていただいたからです🤭
ゲストは映画評論家の筈見有弘さんと翻訳家の戸田奈津子さんでした。
本命は、「カラーパーブル」と評されていたのですが、ノミネートは多数あったものの、受賞はゼロという驚きの結果でした。
一説には、スピルバーグに賞をあげないシナリオがあったとか、なかったとか⁉️

その一方で「愛と哀しみの果て」は多数の受賞を果たします😅

監督賞のプレゼンターは、
巨匠ジョン・ヒューストン、がスタンディングオベーションで迎えられます。
次いでビリー・ワイルダーも同じくスタンディングオベーションです🎵

そして最後に
我ら日の本の🤭黒澤明さんが、やっぱりスタンディングオベーションのもとに登場します。

番組収録中でしたが、誇らしかったのを憶えています。

ノミネート作品を黒澤さんが紹介したのは、シドニー・ポラックでしたが、シドニー・ポラック氏は、黒澤明さんに自分の名前を呼ばれたことを子供のように、身体全体で喜びます。
改めて
アメリカでの黒澤明さんへのレスペクトの大きさを想いました。
この年、
黒澤明さんは、「乱」で4部門ノミネートされていました。
そのうち、衣装デザイン賞をワダエミさんが受賞。
スピーチでは、オスカー像を持って

「このオスカー像には、私の衣装は必要ないのね」

と小粋にユーモアから入ると、大きくウケていました😁🌀

オスカー像は、裸の像なのです🎵

いや~今日は長いblogになりました、意外と憶えているものですね。

それもこれも
メリル・ストリープです。

かつてご覧になられた方も時を経てご自分の人生体験を積まれて来られた方には、必見かと想います。

邦題の
愛と哀しみの果て、
が実は、
そんなに哀しみ✨ばかりではなく、カレンの人生は誰よりも豊かである、と想えてくる作品なのです。

大切なのは、
どんな現実をも
抗えない事実として素直に受け止める勇気と
反省はしても後悔しない、
しなやかな感性✨なのだと
メリル・ストリープは、微笑みと見事なデンマーク🇩🇰訛りの英語で語りかけます。