人生、いろんなことがあるよね。
この先への新たな一歩を踏み出したいから、過去を過去として、良き思い出として心に閉まっておきたいから、わたしの大切な思い出をここに残しておきたいと思った。

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12年前、母方の祖母が亡くなった。膵臓癌だった。

祖母が入院したことを知って、母は急遽日本に帰国して看病することになった。夏前だったと思う。

もう長くないと聞かされたショックと、母の辛そうな姿を見ているのがほんとうに悲しくかった。


母が日本に帰国してしばらくたったころ、母から手紙が届いた。

それまでも電話で話しをしたりしていたけど、母は思ったよりも元気にしているようでちょっと安心。


手紙と一緒に姉と私にプレゼントが同封されていた。ピアスをあけていない私にはイヤリング、そしてピアスをしている姉にはおそろいのピアスが入っていたの。


「病院へ行くバスを待っていたら、近くのお店で売っていたのでかわいいなとおもって2人に買いました。」


なんか分からないけど、とっても切ない気持ちになった。それまで平気だったのに、お母さんがとっても恋しくなった。


情景が目に浮かぶようだった。

きっとね、祖母が入院している病院行きのバスを待ちながら、母は憂うつな気持ちでいただろう。そしてふとアクセサリー屋が目にとまった。何気なくのぞいたら高校生の娘2人が喜びそうなアクセサリーが並んでいたのでしょうね。そのときの母の顔は、きっとやさしい顔になっていたと思うの。遠く離れたスペインに残してきた私と姉のことを想いながら。。。


自分の母親が病魔に侵されているのだから、娘である母はとっても落ち込んでいただろうし毎日祈るような気持ちで過ごしていたと思う。でもそんな母も娘を持つ母親。


母が送ってくれた小さなイヤリングに込められた、とてつもなく大きな母の愛情が伝わってきたの。

そのときに私が感じた気持ちはことばではうまく言い表せない。

私がピアスをあけていないことをちゃんと分かっている母。当たり前じゃない?と思うかもしれないけど、例えば父だったら分からなかったと思うわ。


いつもはスペイン⇔日本間なんてたいした距離じゃないわ、って思うけど、あのときばかりは日本がとっても遠く感じたよ。