私は中学受験に失敗した。


希望通り皆と同じ公立中学に入った。


私がバスケ部に入ったのは、

小学生の頃から憧れながらも入れてもらえなかったグループのメンバーが

こぞってバスケ部に入ったからだ。


違う小学校からもバスケ経験者がいたりして

みんな上手かった。


私は小学校の陸上記録会のようなことが無いように

一生懸命練習して、自分をアピールした。


先輩は、私が憧れているグループの面子をとても気に入って

練習中もその子達を呼んで、先輩の練習に混ぜていたりもした。


もちろん、それを遠くから眺めてはうらやましい気持ちで一杯の私は

ひたすら練習を重ねて、みんなと同じ土俵に上がろうとしていた。

でも、先輩は人で選んでいて

私がグループに入ることは1年近くなかった。


1年生の終わりに、地区大会という市よりも少し大きな規模の大会があった。


コーチがレギュラーを発表した。


思いもよらぬことに、

私はレギュラー5人のうちの一人に選ばれていた。


ほかのメンバーはみんな、憧れのグループの子達。

私は嬉しくて、早速4番という格好いい数字のユニフォームに袖を通した。


作戦会議中。


ほかのメンバーがコーチに訴える。


「なんで優ちゃんがメンバーじゃないの?」

「優ちゃんと練習してたから、突然メンバーが変わっても困る」

「優ちゃん…じゃなくて、あ、マーゴか」


私の存在にみんなが苛立っている。

先生はそれを一喝して、コートへ私達を送り込んだ。


そんなもんだからパスなんてなかなか回らない。

試合は全然上手くいかない。


みんなは優ちゃんを望んでいる。

私の憧れるメンバーが楽しめていない。

私は邪魔なんだ…


走りながらも頭がぐらぐらしてきた私は、

なんだかここにいることが恥ずかしいような気がしてきて

途中からせっかくもらったボールをわざと落としたり相手にパスをした。


見かねたコーチは選手交代をした。


私の代わりに入る優ちゃん、

いくぞー!と気合いがみなぎるほかの選手達。


これでよかったんだ。


私なんかがいっちょ前に試合に出ちゃいけなかったんだ。




そう。

時に私はとても臆病になる。

自分を思いきり過小評価して、要のところで力を発揮できない。

この時から既にとても弱い人間だった。