小・中学生の頃よく人と喧嘩をした。
くだらない理由で、だいたい喧嘩をしかけるのは私だった。
大抵は相手に味方がたくさんついて私が悪者になる。
というか悪いのは私なので間違っていない。
小学校の頃は親の方針で塾に通っていた。
私立中学に入れたい親と、
仲間はずれにされようと仲間といたい私の対立が続いた。
第一希望の中学見学の際、相手校長を目の前に
「こんなださい中学行きたくない」
と暴言を吐き、両親にこっぴどく怒られた。
一方、通っていた小学校では
一緒に遊びたいグループがあったのだが
あまり相手にされなかった。
私は手をつないで歩く女の子達の真ん中に入りたかった。
でも皆は同じグループという認識がないので
私と手をつなぐつもりもなく
それを遠くから眺めていたり、時には喧嘩をふっかけて
それでも交流を持っていたかった。
ある日、そのグループのリーダー格につっかかり喧嘩になった。
私は泣きながらトイレに駆け込み、
追いかけてきた優ちゃんに
「私、親の転勤で中学が変わるの。だからもう皆に会えない」
と思いきり嘘をついた。
その子は
「そんなことで怒ってたの?離れてもマーゴは友達だよ!」
と優しく勇気付けてくれた。
―友達。
私はそれだけで嬉しかった。
「友達」という言葉が嬉しかった。
だからそれ以降、そのグループに喧嘩をふっかけることをやめた。
不器用で、うそつきな小学生だったと思う。