私の人生はいつだって演技。

下手な計算で埋め尽くされている。


三十路まで生きてはいるけれど、いつだって中途半端。

特技なし。

物事は最後までやり遂げられない。


議論ができず喧嘩になるけど

喧嘩も負けるので不利になるとその場から逃げる臆病者。


そう。

私はすぐに逃げたがる。




あれは小学校5年生の陸上記録会のことだった。


選手に選ばれ、800メートルの試合に出場することになった私は

ユニフォームに着替えて、ウォーミングアップをしていた。


レースの10分前にアナウンスが流れ、出場者が次々とフィールドへ。


突然の緊張。

臆病者の私は、そのままトイレへ駆け込んだ。


出たくない…


用を足すでもなく、ただ一番奥のトイレの中で屈みこんで耳をふさいだ。


再度アナウンスが流れる。

より耳をふさいでアナウンスが聞こえないようにした。


5分が経ち、10分が経ち、15分が経った。


レースが終わったであろう頃、私は何食わぬ顔でトイレを出て

監督に「お腹の調子が悪くてトイレに行っていた」と嘘をついた。


私の代わりにレースに出た補欠のMは少し怒っていたけれど

臆病のあまりにレースから逃げ出した私を、監督はちゃんと見抜いていた。


それ以降、どんなに練習を重ねても誰より早く走ろうと、

2年間、監督が私を選手に選ぶことはなかった。





こんな経験が人生の随所にある。


醜いからブログにすることにした。


言葉にして文にして、吐き出したい。



私はこうやって毎日、

自分の過去を思い出しては自己をけなし落ち込んで

それでも、こんな私でも、幸せになる権利を与えられているはずだと

夜の月に訴えるのだ。