2025年、SP商材EC大手のイタミアート(168A)が、老舗印刷業の東京ネオプリント(TNP)360百万円で買収予定と発表。

一見すると「お買い得」に見えるディールですが、よく見ると“チャレンジング”な買収です。本記事では、

  • EPSと財務への影響

  • 株価インパクト

  • 再建の難しさと可能性

について整理してみました📊

✅【前提】イタミアートと買収対象の比較

◉ イタミアート(買収側・2025年1月期)

・売上高:3,605百万円(+15.8%)
・営業利益:271百万円
・純利益:165百万円
・EPS:118.47円
・純資産:1,204百万円(自己資本比率33.0%)
・上場市場:グロース(2024年上場)

◉ 東京ネオプリント(買収対象)

・売上高:1,571百万円
・営業損失:▲81百万円
・純損失:▲181百万円
・純資産:648百万円
・総資産:1,514百万円

→ 買収価格はわずか360百万円。つまり、“純資産の55%引き”での買収です。


✅【会計上のポイント】負ののれん益が発生

このディールでは「負ののれん益」が発生します。簡単に言うと、

本来の価値より安く買った差額が「利益」として計上される

▼ 計算:

純資産648百万円 − 買収価格360百万円 = 288百万円(負ののれん)

→ この288百万円は「特別利益」として2026年1月期に計上されます。


✅【EPS影響】表面上は爆増、でも中身は…

指標 金額(概算)
2026年 EPS(負ののれん込み) 約172円
2026年 EPS(のれん除外) 約73.5円
前年実績 EPS 118.47円
EPSギャップ(実力ベース) ▲38%

 

📌 見た目は爆増でも、中身は減益
株価が反応しても、それは“帳簿上のマジック”であることに注意です。


✅【株価インパクト予測】PERによる水準試算

株価はPER(株価収益率)で語られがち。EPSとPERを掛け合わせて株価を概算してみます。

◆ のれん込みEPS:172円

PER 株価水準
10倍 1,720円
15倍 2,580円

→ 一見、「超割安」な高収益株に見えるが…

 

◆ 実力EPS:73.5円

PER 株価水準
10倍 735円
15倍 1,103円

⚠️ EPSが翌期に急落すると、PER急騰 → 株価下落リスク大
これは典型的な「一時的利益で株価が吊り上がる」ケースです。


✅【チャレンジングな買収である理由】

  1. TNPは構造赤字企業(3期連続赤字、純損失181百万円)

  2. EPSは剥落前提。2027年に急低下

  3. EC化が遅れたレガシー印刷業 → 統合効果には時間がかかる?

  4. 事業モデルも製造ベースで、イタミアートの「IT×製造」と相性が難しい面も?

📌 つまり、この買収は“数字上の利益”ではなく、実際の再建力が試される本気のチャレンジなんです。

 

ポイントは3つ👇

  • EC横展開(キングシリーズとの連携)

  • 法人営業チャネルからの相互販売

  • 管理費削減・人員最適化で損益分岐突破


✅ 最後に:投資家の視点から

この買収は「数字だけを見れば成功」に見えます。
でも本質は、

実力EPSは下がっている
TNPの赤字体質が続けば株主リスクになる
統合効果の創出には“戦略と現場の両立”が必要

まさにこれは、“チャレンジングなM&A”。

 

📌 この大きな統合で業界のシェアも一段と高くなるはず。イタミアート経営陣の腕の見せ所ですね。応援してます!頑張れ!!

 


📝まとめ:

  • 負ののれんでEPSは一時上昇(172円)

  • 実力値は低下 → EPS剥落リスク

  • 株価は一時的に跳ねるも、翌期反落もあり得る

  • TNPの再建シナリオが成否を分ける