これは多分僕の思い出が色濃く反映されている気もするんだけど…

本当に恥ずかしながら、絶対周囲には知られたくないのですが、つい最近まで半年くらい、25歳も年下の女性に猛烈に恋をしていました。本当に好きでした。何が何でも結ばれたいと思っていましたが、やはり世の中は甘くはありませんでした。

まだ二人の関係性が確定する前のこと、僕らは食の好みが合うことがわかってきて、僕がお世話になっているフランス料理屋にワインを持ち込んで食事をしようとなったのです。どうもブルゴーニュよりボルドーがお好みのようで、とあるデパートのソムリエ&ソムリエール軍団に散々相談して、シャトーマルゴーの2005年と2004年を持ち込ませていただくことになりました。

シャトーマルゴーって…失楽園かよ笑 世代がバレるな…断っておきますが、僕はアラフィフシングルファーザーですので独身で問題はございませんっ!一応おことわりしておきますね笑

さて本題のワインなのですが、レストランで開けさせていただいた2004年と2005年のマルゴーがあまりに対象的な変化を見せました。2005年はいわゆるビッグヴィンテージで、雑誌や評価本でよく言われているように、いつ飲んでも完璧に甘美なワインでした。開けて3時間の間味に大きな変化がなく、とにかくいつ飲んでも甘くて丸くて美味しかったです。ただしまだまだ若く、本当の熟成は今から10年20年後かなと思いました。本当の美人さんが、幼かろうが女盛りだろうが年老いていようが、いつでも美しいのと全く同じことです。

一方2004年のマルゴーは、いわゆる当たり年のワインではないのですが、18年たった今も熟成の過程にあり、最初は酸味と渋みと甘みのバランスはとれていませんでした。ですが開栓1時間後から調和して香りだして、瞬間風速的には2005を追い越す味わいを見せて、ゆっくりと落ちていきました。

2016年に亡くなったシャトーマルゴーのディレクター、ポールポンタリエさんはとある雑誌でこのようなことを仰っていました。マルゴー2005は非常に偉大なワインですが高すぎます。周囲の人には2004を買うように勧めています。

ワインって、本当に興味深い。エロすぎる。

僕は元々ボルドーならシャトーラトゥール派だったのですが、今ではもう、すっかりシャトーマルゴーに魅せられています。天才ポールポンタリエさんの作品を超レアブルゴーニュを売却してまで買い漁っています。

完璧な美味しさの2005、娘の生まれ年2012、そして今回2004が美味しかったことで興味が出た恐らく似ているヴィンテージ1999、いやその半年間猛烈に恋をした女性の生まれ年1999をそれぞれ5本から8本も買うという、思い切ったことをしてしまいました。マルゴーだけで200万円以上使っちゃったわけだね。

いつか一緒になれるかもしれないと僕が勝手に期待している彼女や、成長した娘と熟成したマルゴーを節目節目に飲んでいく…そんな幸せを夢見て買い集めました。でも多分10年後の僕は娘も巣立ってやはりひとりぼっちなんだろうと感じています。シューベルトの冬の旅を聴きながら、マルゴーが詰まったワインセラーの前で、毎日酔いつぶれています。僕は幸せ…なのかな?