最近バレエを始めたという女性がレッスンの不満をもらした。もっとあれこれ注意して、本質的なことをちゃんと指導して欲しい、と。

彼女のバレエ暦は始まったばかりだけど、動画などを見て基本的な動きの予習はたくさんして準備してきたようで、先生には張り切ってガンガン指導して欲しいのに、クラスでは膝や手首の向きをざっと説明するだけで、重心の位置や具体的な角度などの細かい指導をしてくれないらしい。

バレエのことは分からないけれど、先生の気持ちはちょっと分かる。

先生は正確なことを説明するのが仕事だけど、ずばりその人に「ここはこう!」と言える関係性を構築するには数回会ったくらいでは全く足りない。毎回のお稽古を休まず、積極的にレッスンに参加し、先生の話を耳も目も体も使ってやる気が伝わり、他のレッスン仲間といい関係になって、先生がこれならいける!と思える状況になれば、もう一歩深いところまで指導してくださるだろう。

その時に受けたい具体的な恵みが、その時に与えられるかどうかは分からない。しかもどのような形で叶えられるかも分からない。時宜にかなったその「時」まで、万事を尽くしてからひとりで祈り、共同体で祈るしかない。

ユダヤ教のお祭り、五旬祭の時にキリストを信じる人たちが集まって心を合わせて祈っていた。その時、ひとりひとりに聖霊がくだったという。聖霊はひとつの存在「一位、ペルソナ」だけど、ひとりひとりに応じた、その時のその形でくだるのだ。

10年稽古を積んで信頼関係もでき上がっている人にはそれに見合った言葉と指導が、入って半年の人には半年の師弟関係に見合った言葉と指導が与えられる。10年生が羨ましいなら、自分も10年続けるか、10年分の経験と関係を高速で身につけるしかない。

最初から細かい本質的な話をしたら、踊る楽しさや喜びを味わうより前に、ほとんどの人が思ってたより難しいとか先生が厳しいとか言って辞めてしまう。先生はあなたの動きや呼吸、姿勢のすべてを見ながら、もっと具体的に言える日を待っている。

同じように聖霊も私の成長を待って下さってると信じている。明日は聖霊降臨祭。

聖霊の火を自分から吹き消さないように。