このイタリア紀行文の進行は実にカタツムリの爬行よりも鈍い感じになっている。


一ヶ月半も過ぎたところで、最初の日さえ書き終わらないことに対して、自分でも苦笑するしかない。


こう思い出しながら文章にするときに、やっと自分が一日であれだけのところを回ったのに気づき、我ながらも驚く。


今は一日安静して座っただけで、風邪を引いた、頭が痛い、眠くて死にそう・・・とかの症状がさ迷うばかりだ。


「時間がない」「体調が悪い」「出来ない」「限界だ」の大半は所詮口実に過ぎないことがよく分かる。


問題は「やりたい」と「やりたくない」だけのことだ。


・・・・・・


私がコロッセオから一度フォロ・ロマーノに戻ったが、まだ五時前なのにそこは早々と閉門になってしまった。


しかたがないので、私が地図を広げて次の目標をあさる。


ほとんどの施設は入場時間が過ぎたため、残りの選択肢は外でも楽しめるスポットだけなのだ。


私がトレヴィの泉を目指して北へ向かうことに決めた。


ローマの通りは実に細かく仕分けられている。地図を見るだけで明らかに一本道なのに、交差点を渡る度に、通りの名前がついでに変わってしまう。最初は戸惑ったりもしますが、だんだん慣れてくると、その便利さを実感。通りの名前は統一規格の金属札に刻んで建物の横壁につけられている。


トレヴィの泉に行く途中、コロンナ宮殿(Palazzo Colonna)を経過。映画「ローマの休日」のラストの記者会見のシーンはここの大広間で撮影されたものである。15世紀に創建され、18世紀に改築されたこの建物は現在美術館として機能しており、ヴェロネーゼやティントレットなど17~20世紀に集められたコロンナ家所有のコレクションが展示されているそうです。拝見できないことはちょっと残念。



コロンナ宮殿


日がだんだん暮れてきて、ローマの町はネオンで輝き始めた。私が通行人の少ない通りを抜けてようやくトレヴィの泉に到着したとき、目の前で溢れるほど賑わう人々の数に驚いた。観光のメッカと分かっているが、真冬の夜にこれだけの人がここに集まっていることに、やっぱり感心しちゃう。


トレヴィの泉   人が多い・・・


トレヴィの泉(Fontana Di Trevi)はとても大きな噴水で、片側は完全に後ろのポーリ像の宮殿の壁にくっついているような形である。古代ローマ時代に大きな泉がたくさんあったが、帝国の崩壊と共に水不足が問題となり、ルネサンス期に入って、泉は次々と再現されたのである。トレヴィはその代表作で、ローマのバロック様式の泉の中で最後のものでもあるが、海神の勝利がモチーフになっている。トリトーネがあやつる馬の引く貝殻には、海神ネプチューンが乗り、凱旋門の上の4人の女性像は四季を表現している。この泉に後ろ向きでコインを投げると、再びローマにこられるという言い伝えがある。私も興に乗って、一枚のコインを投げてみた。


再び来られますように。

トレヴィの泉

ここに来て、私がようやくお昼を食べていないことを思い出して、おなかがすいたことにも気づいた。トレヴィの泉のすぐ横にピザとジェラートを売るカフェがあり、私がそこで夕飯を済ませることにした。


ピザは好きなサイズにカットしてもらって、重量で販売されている。ジェラートもアイスの数によって値段が違うが、私がブルベリーとバナナ味にチャレンジ。


入口の近くアイスをかじりながらトレヴィの泉を眺められるなんて、幸せを感じる。
昼食+夕食のピザ   ジェラート