時計では測れない、うたた寝 ほんの一瞬、ウトウトした。 そう思って目を開け、 念のため時計を確認すると、 本当に一分前後しか経っていなかった。 それなのに、 体感としては、 ずいぶんとのんびりした時間を 過ごしていた感覚が残っている。 理屈ではなく、 「味わった」という感じが近い。 夢の中では、 木造二階建ての建物の 二階の広間に居た。 親戚が一堂に会していて、 部屋の中は、 子供たちがそれぞれ手作りした 紙の立体工作で埋め尽くされている。 どれも稚拙で、 どれも個性的で、 同じものは一つもない。 大人たち―― 僕もその一人として、 一つひとつを眺め、 言葉を交わし、 静かに批評していた。 やがて、 ほぼすべての作品を見終えた頃、 誰かが言った。 「そろそろ、寝る場所を作らないと」 子供たちも、 大人たちも、 皆が横になれるように、 床を敷く必要がある。 そこで、 作品たちは捨てられることも、 壊されることもなく、 部屋の端へと寄せられていった。 誰か一人がやるのではなく、 自然に手分けして。 部屋の中央が空き、 「さて、これから床を敷こう」 そう思った瞬間に、 目が覚めた。 不思議だったのは、 その建物が「二階」だと はっきり分かっていたことだ。 階段を上った記憶は、 一つも無い。 それでも、 疑いようもなく、 二階の広間だった。 時計を見ると、 やはり一分ほどしか 経っていない。 それでも、 あの時間は、 確かに、 ゆったりと存在していた。 時間は、 必ずしも 針や数字だけで 測れるものではないらしい。 理屈よりも先に、 そういう時間を 味わえたことが、 ただ、ありがたかった。