- 宮本 輝 宮本 輝
- 森のなかの海(上) 森のなかの海(下)
久しぶりに、じっくりと物語世界に浸った。- 主人公が女性なので、疑似体験的ハマり方だったが。
物語はあの阪神大震災の朝から始まる。
いつものように何事もなく前夜を過ごし、いつもの朝であれば、いたはずの場所3ヶ所にいたとしたら、たすからなかったであろう主人公。
たすかったものの、それまでの平和な生活に潜んでいた裏切りが発覚。
痛手から抜け出すために、自ら動き始めるが・・・。
主人公が生きている世界のリアリティが素晴らしい。
上巻と下巻では、物語の趣が一気に変わってしまうのが面白い。
実を言うと、宮本輝の作品を読むのは、これが初めてだった。
ん~。- しかしである。
面白いし、抵抗なく読ませてはくれるのだが、どーも読者にとって未解決のままの問題が多いような気がして、喉に魚の小骨が刺さった感がある読了感。
いちばん気になるのは、実の息子2人がほとんど出てこないこと。- 震災で親を亡くした近所の3姉妹を引き取るところまではアリだと思うのだが、それに加えて7人も女の子を引き取っちゃあアカンでしょう。
- 男の子2人と3姉妹の成長物語だけでも十分書き込めたと思うのだが、このあたりは理解に苦しむ。
二番目は、ひょんなことから譲り受けた奥飛騨の別荘の主人にまつわる謎解きはしないと、その主人が残したノートを中身を読まずに処分したにもかかわらず、下巻の大半がその謎解きに終始しているのがどうも。
ん~。- 最終的に、主人公は救われたのだろうか・・・。
宮本輝さんて、ずっとこんな作風なんだろうか。
次は、「私たちが好きだったこと」にとりかかります。