手作りのご飯をたくさんタッパーに詰めて

 母が家にやってきた




 時々こうして来てくれるのだけれど

 本当にありがたい




 料理が特別上手いわけではないのだけれど

 おふくろの味というのはほっとできる




 「やっぱり家にあったわ」




 そう言って母がわたしに手渡した




 ちょっと黄ばんだ袋に母子手帳が入っていて

 今と変わらない母の字で

 わたしの名前が書かれていた




 母の前で母子手帳のページをめくっていくと

 わたしが生まれて少しずつ成長する様子が

 記録されていた




 母は看護師でわたしたち3姉妹を育てた

 今自分が母親になってみると

 その大変さがよく分かる




 母子手帳には通勤時間と

 満員電車の様子が記されていて

 つわりの時も辛かっただろうなと想像できた




 「あなたはおしゃべりだったわ」




 母子手帳にも言葉が早いとか

 そんなことも書かれていて

 母が思い出しながらくすくすと笑っている




 「声がかれて耳鼻科に連れて行ったら、

  先生に喋り過ぎといわれたのよ」




 二人で笑った




 「だからマレもおしゃべりなんだ」




 夫とマレがよくしゃべるのは誰に似たんだろう?

 わたしでもパパでもないよねなんて話ていた




 それがどうやらわたしの幼少期と似ているようで

 可笑しくてでもなんだかとても嬉しかった




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