洗濯物の香りを運ぶ風
部屋から漏れた
リピートされる音楽
遠くから月がぼんやりと
わたしを懐かしんで
雲と重なり合う

病室の窓から見上げた
夜空は眩しすぎた
一定のリズムで刻む
命の音を思い出して
雲から滲む光を探した

あれからどのくらいたったのだろうと
思い出すにはまだ短かすぎて
この夜さえも静かに
明日を待ちわびている

わたしの苦しみなんかよりも
あなたの痛みを分かち合えたらと
願った自分はいたのだろうか
どこにいるのだろうか

明けない夜もきっとある
だけど明けない夜はないと
心の底でずっと信じていた
月が眩しいこの夜が懐かしくて
柔らかな風を大きく吸い込んだ