副業で細々とやってたこの仕事を、本業にしたのが長女誕生のとき。
その長女が、来月で16歳の誕生日を迎える。

そして、ありがたいことに、この16年間、
一度も仕事が途切れたことがない。

「比較的落ち着いている」ときと
「もう無理、死ぬ」はあるけど、

「どうしよう、することなくなっちゃった」ということは
まったくないのです。

以前、よく同業者さんと話していたことだけど、
もしかしたら版元さんや編プロさんは、
蚊に内蔵できる小型カメラをもっているのではないだろーか。
きっと、お仕事が少なくなって、今なら絶対断らない、というタイミングを見計らっているのではないか、というくらい
絶妙なときに、依頼メールが届く。

これはもう、本当にありがたいことだ。
どの仕事にも共通していることだろうけど、
営業活動は本当に難しい。

初期の頃は応募とかトライアルもがんがん挑戦したし、
今でもゆっくりになれば「何かしまっせー」と
メールを送ることもあるけれど、
「この仕事を続けていけるだろうか」と不安になることもなく、
常にお仕事が手元にあるのは、フリーランスとして何よりの心の安定につながる笑


しかし一方、そのありがたさは重々わかった上で、
それでも、「あー、賽の河原にいるみたいだなあ」と感じることもある。

一つの仕事を終えて、さて、次のお仕事、となることは皆無だ。
常に何件か(ときに十何件か)の仕事が並行して動いていて、
校了の喜びに浸ることもなく、次の仕事に取りかかる。

陣痛が起こったときも過労で救急車で運ばれるときも
真っ先に考えたのは締切とスタッフの段取りだったし、
自分に何かあったら仕事の連絡どうしよう、
迷惑かけないように対応できるかな、は
常にあたまにある。

まあ、でも、考えてみれば育休も産休もなく、
常に仕事はしていた。
落ち着けない性分には、こんな働き方があってるんだろうなあ…

そういえば、先日子供とそんな話をしていたんだけど
子供が「永遠に石積むとか飽きるわ。
ノート1冊だけでいいからほしいわ。
絵描いたり、折り紙したり、なんかしできるから」と言っていた。

「いや、それ、罰にならないし。
ていうか何、その1個だけ100均で買っていいよ、みたいな縛り。
だいたい、それ1個だけ選ぶなら、
買うべきものは間違いなく決まってるやろ」

「えっ、何?」

「アロンアルファ(にやり)」


ネットをうろうろしてて、
「出る杭は打たれるけど出すぎた杭は打たれない」というのがあって、
へー、なるほどね、と思ってました。

傲慢を承知で言ってしまえば、

若い頃の私は、「出すぎた杭」だった。

クリスマス商戦で子供向けのキーボードのデモ演奏バイトに行けば
ついでに電子ピアノを売ってくるし、

カフェバイトでは、2週間でバイトリーダーになって
若手をいびりまくっていたお局様も
なぜか私にだけは敬語だし、

就職すれば入社半年で基幹ブランドのデザイナーに抜擢され、
企画室にパソコン導入してもらい、
カラーバリエーションのシミュレーションを一瞬で作れるようになり、

塾講師になってからは、
私が結婚退社後にクラス平均がガクンと落ち
塾長から慌てて呼び戻され、

今に至るまで、そんな感じの無敵の人生を送っている。
(ただし、無敵ではあるが順風満帆ではなく、
かなりいろいろあったんだけど、それはまた別の機会に)

そんな経験から言って、
確かに、出すぎる杭は打たれない。

いや、確かに、疎まれたり憎まれたりすることはあるけど、
そっちが自滅してしまうのだ。

新人研修で入ったお店で、月間売り上げが3カ月で店舗トップになり、
「(いいお客さんに恵まれて)運がいいよね」と
通りすがりに先輩スタッフにぽそっと言われることもあったけど、
それが2カ月続くと言われなくなる。

女社会で先輩にシカトされたり意地悪されたりしたこともあるが、
スルーしていると、周囲が気づいてフォローしてくれた。
(たちの悪いことに、私は自分に後ろ暗いところがないようにして
周囲を味方に付けるのがうまい。たちが悪い。)

まあ、多少のことは一瞬で忘れる鋼のメンタルとか
有無を言わせない結果、とかもあるにはあるけど

私が打たれなかったのは、

「出すぎていた」だけじゃなく、
「出すぎてるけど、キミ、曲がってるで」だったからだと思う。


一言で言うと、私はアホだった。

仕事を辞めてからかなりして、
以前の先輩たちとランチをして、言われたことがある。

「トヨちゃん(旧姓)は、めちゃくちゃ仕事できたけど、
普通、あそこまで仕事できたら、私たちも話しかけづらかったと思うんよね。
でも、トヨちゃんって、ほら、ちょっとアレやったから…(おねーさまがた、顔を見合わせ爆笑)」

そう。
私は、仕事はできたけど、日常のさまざまなことがダメダメな人間だった。

コートを裏向きに着てくるとか、

役員会議で発言を求められ、
立ち上がってかけた眼鏡が
アランドロンみたいなお父さんの老眼鏡だったとか、

地下鉄でスカートをドアに挟まれ、
降りられずに遅刻するとか。

自分で自分を「天然」という人はエセ天然だとはよく言われるが、

残念ながら、私は周囲が口を揃えて太鼓判を押してくださる、
先天性の天然のテンネンだった。

「あの杭めっちゃ出てるね」
「でもめっちゃ曲がってるね(プッ)
ちょっと、戻してあげようか」と
周囲に支えられて、痛い目…もいろいろみたけど、
なんとかやってこられたと思う。

あとは、自分が出ていることは謙遜しすぎず受け止めた上で
(行き過ぎた謙遜はウザいと思う。
頑張ったことに対して、できます!と胸をはるのはいいと思う!)
周囲の人も、きちんとリスペクトすることかなー。

自分のできることに誇りを持つのは
「私はできる!」であって、
「私は周囲よりできる!」である必要はない。
相対的な評価は、自分よりできる人がいたら簡単に崩れる。

最近、まさに「出る杭」になることに悩んでいる娘を見てて、
そんなことをつらつら考えていたのでした。

がんばれー。





1号店オープンから4年を超え、2号店も2年半。「さすがに頭打ちかな?」と思っても、おかげさまでお客様は増え続け、
オープン当初から、売り上げのグラフはゆるゆると上がり続けている。
(2号店オープンしたときはさすがに分散されて少し減ったけど、
数ヶ月で回復し、そこから両店が作用し合って飛躍的に伸びた。)

タイミングもよかったと思う。
今は大阪もシーシャ屋さんが増えたけど、
4年前はけっこう黎明期で、専門店はほぼなかった。
最初はまず知名度を上げるのに苦労して、
怪しまれたり通報されたりしながらやってきて、
ここ1年くらいで急にシーシャカフェが増える前に
おこがましいけど、人気店と言われるお店になれたと思う。

とはいえ、やってみてしみじみ思ったけど

飲食は儲からねえ!!

基本、パソコン1台と赤ペンがあればできる仕事してるから
較べるのがおかしいんだけど、
それにしてもなんだ、この原価率。

仕入れて、場所確保して、光熱費と人件費を払ったら
笑ってしまうほど残らない。

さらに暴利、たばこ税!!
ああたばこぜいたばこぜい。

紙たばこは半分が税金とかよく言うけど、
シーシャのフレーバーなんて、だくだくのシロップにもきっちり税金かかって
たばこの葉はほとんど税金だよ。
お客さん、ほとんどそれ、納税だよ。

ブラックで有名なシフルも、さすがにスタッフも増えたし、
まー、ほんとに厳しいですね。

とはいえ、喫茶店に較べると、うちは客単価も高いし、
廃棄率も、スペシャルに低い。
(紅茶の葉っぱ、腐らないし。
パンとか牛乳はその都度買いに行くから、ほぼ廃棄出ない。)

コーヒー1杯で粘られる純喫茶とか、
どうやって成り立ってるんだろ、と思う。

売り上げが増えると、仕入れも人件費も増えるし、
固定費が一定の分は楽になってるんだけど、
既にお客さんが外まで溢れてるこの状況、
お引っ越し?とか考え出すとおそろしい。

まあ、贅沢な悩みだとは思うけど。
3連休最終日も忙しくなりそうだ。