あの冬の頃
週の3日程、学校帰りに制服のまま稽古場へ通った。
秋が深まり底冷えのする冬が来るころ私は既に恋をしていた。
いつ?あの時?この瞬間などと…
落ちた瞬間を全く覚えていないと言う事は、一つ一つ同じ空間で過ごす時間や、そこで動く彼の動き、肉体、低い話し声、高い笑い声などが私の五感の中に沁み込んだ、全て自然の流れだったのだろう。
私はふにゃふにゃしていた。不器用で鈍臭い女子高生だった。着ている制服のせいでたいして年の変わらない彼からは余計に子供に映っていた。
その後数年に渡り、私は「おこちゃま」とからかわれつづける事となる。