:『そこに日本人がいた! 海を渡ったご先祖様たち』=熊田忠雄・著
(新潮社・1575円)
日本人の国民性をして、よく「島国根性」という言葉で表現される。だが、四方を海に囲まれた島国育ちゆえに、ふくらむロマンがある。海外渡航が“冒険”だった時代、海を隔てた国に降り立った日本人は、そんな夢を形にしたといえまいか。
ニッポン放送記者だった著者は、海外取材へ出るたび、日本とかの地の交流に関する資料を集めてきたという。
明治後期にマダガスカルへ渡った赤崎伝三郎の項は興味深い。家業の破たんで新天地を目指した彼は、港町に開いた酒場で財をなした。これだけなら単なる海外成功者のエピソードだが、日本海海戦を前に寄港したロシア・バルチック艦隊と遭遇。インド経由で日本へ届けられた赤崎の情報は、祖国を勝利に導く。(信)