初期電子音楽の製作で用いられた基本テクニック | ノイズのなぐさめ

ノイズのなぐさめ

歪んだ美意識。
ちっぽけ 些々たる しがない
たわい無い 些末 末梢的
スマート、スィート、デンジャラス
大切なのは長く働くこと。

「最初に、私はさまざまにプリペアしたピアノの低音弦を鉄製のバチで叩いた六つの音を、毎秒76.2センチメートルのテープ・スピードで録音しました。その後、私はそれぞれの音を何度もコピーし、鋏でそれぞれの音のアタック部分を切り取り、それに続く数センチ、つまり短い時間ながら強度的にかなり一定した音響の部分を使用しました。そしてこれらの断片の幾つかをテープ・ループのかたちに接合し、このループを一種の移調マシンによって特定の音高に移調して、移調したそれぞれの音から数分間ずつ、別々のテープに録音しました。

一人の技術者つきのスタジオ使用は、毎週数時間だけしか許されていなかったので、私は学生寄宿舎の机の上に釘を打って、釘に金属製のテープ・ハブを差し、机の上に水平に定規を固定し、そして机の後側に一連の変調されたハブ付のテープと何も録音されていない空のテープのハブを一つ配置しました。そして白い粘着テープのロールから小さな断片をいくつも切り取って机の端に並べて張り付けました。

それから自分の楽譜に従って、特定の音高へ移調された音響のテープを一つ選び、センチとミリで記譜された長さを測定してその長さに切り取り、それを粘着テープの小片とともに、それより少しだけ長い白いリーダー・テープの断片上に接着し、そして白いテープと磁気テープの最初の小片を釘の上の金属製のハブに巻取りました。このために私は鉛筆をハブの別の穴に入れ、それを釘のまわりにゆっくりと廻して使用しました。

次に、私は別のプリペアされたテープを選び、測定して断片に切り取り、そして前の断片に接合しました。楽譜に定められた休止のときはいつでも、その休止の長さ分の白テープを作品となるテープ上に接合しました。時折、私の巻き取り装置は機能しなくなって、その結果はテープ・サラダでした。そんなときは机の下の床を這い回って、落下したテープの端を探しました。ひとたび見つかると、からみ合ったテープのカオスを大変な苦労をしてほぐし、再度念入りにハブのまわりに巻取るのでした。

私のスタジオの使用時間がくると、二本の接合テープを二台の再生用テープ・レコーダーを使用して同期させ、その結果を三台目のテープ・レコーダーに録音しました。ポリフォニーの必要があれば、その録音を、茶色のテープ断片と白い休止の小片で縞模様になったもう一つのテープとともに、再び多重録音しました。すでに二つの同期した層を聴いたときに、そして3つあるいは4つの層を聴き進むにつれ、私はますます青ざめてどうすることもできなくなっていきました:私はまったく違うものを思い描いていたのでした!

次の日も、辛気くさい作業はお構いなく続いていきました。私は「セリー」を変更し、別の配列を選び、別の長さを切り、異なる進行型を接合し、そして新たな音の奇跡を願いました。」


テープ・ループからMIDIへ
カールハインツ・シュトックハウゼンの電子音楽の40年
マイケル・マニオン著