ちょっと待て。何でもっと早くその質問をしないんだ!そういうのを面白い質問というんだ。どうして今頃になって……。私が興味深いと思うのは、人がどうやって自分の考え方を変えていくかってことでね。つまり、そのためにアートがあるんだよ。アートというのは違う自分、新しい自分を試すために自由に実験をし、なおかつ失敗を恐れなくてもいい唯一の領域なんだ。そうだろ?何故ならアートにはリスクが伴わない。もし何かリスクを負ったとしても、それは肉体的なものではないから、簡単に抜け出せるんだ。本を読んでいて怖くなったら途中で閉じてしまえばいいし、聴いている曲が嫌だったら違う曲に変えることも可能だ。つまり新しいことを試すシミュレーターの役割があるんだよ。ジャンボ機を操縦したいといって、いきなり本物に乗りこむ人問はいない。普通はフライト・シミュレーターから始めるだろう。アートにもそれと同じ役割がある……。ほら、こういう話なら余裕で2時間は話せるのに。
イーノ
2001.8 インタビュー