「あけましておめでとうございます」
謹賀新年。謹んで新たな年を拝む事が出来た事を祝う1日。
また新たな一年が芽吹き、過去になった昨日までを忘れないよう誓う日。
男は神社で買った破魔矢をくるくると弄ぶ。不敬だ。
「それ、やめなさいな。みっともない。でも、謹んで喜ぶわ。あけましておめでとう」
女は境内で御神酒に口を付けながらマールボロに火を点ける。不敬だ。
「それ、やめたほうが良いですよ。早急に。みっともない」
1つ伸びをすると男は破魔矢をリュックにしまって左手を空に翳すと微笑む。優しい陽の光を感じる。
「暖かいですね」
女は御神酒を気持ちよく一気のみすると右手を地に付けて言う。
「石段もとても暖かくて幸せそうだわ。うん。いいわね」
1つあくびをすると、よいしょ、と立ち上がる。
帰って何をしようだとかの話をしながら境内を下る。
新春を迎える事についてはやぶさかではないが何にでも「初」を付ける風習にはどうも慣れない。
過去になった昨日までを浚い、その重い想いと共に来たというのに初めてとは言えなかった。
勿論喩えだとしてもだ。
「さあ、帰りますか」
「帰りましょう、私達のおうちに」
繋いだその手は来た時には冷えていたのに、今は酷く温かくて、それは謹んで新たな一年が生まれた温度のように感じた。
感じる事にした。
何でもこの温かさのせいにさえしてしまえるような。
「不敬ですね」と笑うと新しい一歩を踏み出した。
境内を囲む揺れる旗にたなびくその一節。謹賀新年。
謹賀新年。謹んで新たな年を拝む事が出来た事を祝う1日。
また新たな一年が芽吹き、過去になった昨日までを忘れないよう誓う日。
男は神社で買った破魔矢をくるくると弄ぶ。不敬だ。
「それ、やめなさいな。みっともない。でも、謹んで喜ぶわ。あけましておめでとう」
女は境内で御神酒に口を付けながらマールボロに火を点ける。不敬だ。
「それ、やめたほうが良いですよ。早急に。みっともない」
1つ伸びをすると男は破魔矢をリュックにしまって左手を空に翳すと微笑む。優しい陽の光を感じる。
「暖かいですね」
女は御神酒を気持ちよく一気のみすると右手を地に付けて言う。
「石段もとても暖かくて幸せそうだわ。うん。いいわね」
1つあくびをすると、よいしょ、と立ち上がる。
帰って何をしようだとかの話をしながら境内を下る。
新春を迎える事についてはやぶさかではないが何にでも「初」を付ける風習にはどうも慣れない。
過去になった昨日までを浚い、その重い想いと共に来たというのに初めてとは言えなかった。
勿論喩えだとしてもだ。
「さあ、帰りますか」
「帰りましょう、私達のおうちに」
繋いだその手は来た時には冷えていたのに、今は酷く温かくて、それは謹んで新たな一年が生まれた温度のように感じた。
感じる事にした。
何でもこの温かさのせいにさえしてしまえるような。
「不敬ですね」と笑うと新しい一歩を踏み出した。
境内を囲む揺れる旗にたなびくその一節。謹賀新年。