『審判の目を通して見たプロ野球の世界』
「内容」プロ野球の審判を29年務めた佐々木昌信さんが、審判の目を通して見たプロ野球選手のすごさについて語っている。
「おすすめポイント」
①試合をただ見ただけではわからない。実は裏ではこうなっていた。
試合の中で審判は選手や監督たちと色々なやり取りをしている。
また、一番近くで選手を見てきたからこそ見えてきた世界について書かれている。
特に、新庄剛志選手(元阪神、日ハムなど)が香水をかけて、それが野球界に広まっていった話、
松井秀喜選手(元巨人など)、広澤克実選手(元ヤクルト、阪神)がミートした後に焦げた臭いがした話は
嗅覚について書かれている。
守っている選手の邪魔にならないように2塁塁審が一番選手としゃべって場所を確認しているのも、
テレビなどではわからないことだった。
②審判だって人間だ。失敗、恐怖…。
佐々木さんが怖かったこととして、
筒香嘉智選手(元横浜など)の打球が1塁塁審時に当たるかと思った話、
本気の伊良部秀輝選手(元ロッテ、阪神など)のストレートが怖いと思った話を挙げている。
また、ボール球をあまりに良い球で「ストライク」と言ってしまった失敗談などが紹介されている。
審判も人間である。失敗から何を学び、どのように次のジャッジに臨んだのか、と言うことも学べる。
③もっと知りたい、プロ野球選手達の魅力。
実は、この本は選手の紹介で「不十分ではないか」と感じたところがある。
例えば、土橋勝征選手(元ヤクルト)は「セカンドの教科書」とあるが、
どのような理由でそう感じたのかが詳しく書かれていない。
中村紀洋選手(元近鉄、中日など)の機敏で柔らかなグラブさばきも同様である。
このような記載から「選手についてもっと知りたい」と感じた。
試合中ずっとしゃべっている城島健司選手(元ソフトバンク、阪神など)、
審判の体調を気遣う大谷翔平選手(元日ハムなど)のエピソードで選手にめちゃくちゃ興味が持てた。
「雑談」
今回は審判の本。
小学校の先生をやっていると、審判をやらさせることが結構多い。
一番多いのは、ドッジボールの審判。
前に勤務していた自治体では、
近隣校と3校くらいと男子はサッカー、女子はミニバスで
年に1回試合をする球技大会っていうのがあった。
若手は大体審判をさせられる。
私も小規模校で若い、男性と言うことで体育主任を4年やった。
体重約110㎏、運動部経験ほぼなしだけどね。
まあ、動体視力が悪くて、どっちのボールかがわからなかった。
あと選手や保護者の「マイボ(マイボール)だろ」って声が怖かったね。
心配だったから何回も練習中に笛を吹いたり、
審判講習会に出たりして無事に終えたけど、
もうやりたくない。
今は球技大会のない自治体で幸せ。
中学校の部活もそうだけど、
そのスポーツの素人に平気で審判や指導をやらせるって
そのスポーツを真剣にやっている人にも失礼じゃないかね。
なんでもかんでも教師にやらせる文化本当に終わってほしい。
本格的に習いたいなら、習い事で真剣にやった方が良いよ。
お金を払ってしっかり上手くなった方が良い。
学校の部活にいろいろと求めるはおかしいと思う。
今回、元プロ野球審判の佐々木さんの本に出会い、
当時これを読んでいたら、
「本職の審判の方も怖いと思うことや失敗もある。」って知って勇気が持てたと思うし、
子ども達にも「審判も人間だ。でも、試合でのジャッジは絶対だ。」と
当時した自分とは違った角度で切り出せたのではないかと思う。
プロ野球 元審判は知っている (ワニブックスPLUS新書)